第75話 女児神に振り回される
私は悟った。
母が母たるに、子に乳を与え、また、乳を吸われねばならないと。
乳飲み子とはよく言ったもの。
私は吸血鬼にして吸血姫だから血飲み子だけどね。
とまれ、母が直接、我が子に乳を与えるからこそ、子に強い愛情を付帯させる。
まあ、私の場合はパパ氏の乳首も吸いまくりましたけどね。うふふ。
つまりおっぱいは最高だということなのよ!!(悟りにキン肉バスター)
さて、さて。
どれくらいおっぱいを友人のマリーと魔神ファーハ様に吸われただろう。
心地よい母性じみた感覚。
しかし、あまり一人と一柱にチュウチュウされると乳首がフヤケそうではある。
知ってるかい。私、今は15歳大人モード(この世界準拠)だけど、本当は生まれてまだ一年もしなくて、しかも身体も本来的には見た目三歳児なのよ。
ああ……私もママ氏のおっぱい吸いたい。あの控え目な胸の膨らみが最高なの。
だって幼女だもの。いいよね別に。おっぱいくらい、好きに吸っても。
「んっ……ふ。今、なにか出たかも」
「甘い香り。おっぱい出たわ」
「カミラママ」
「ママ……」
えええ。人体の神秘? 否、吸血鬼の神秘? 確かに何か分泌した感覚があった。
「ちょ、ホントここでストップ。わたし、まだそちら側なのよ。与える方じゃなくて、吸ったり甘えたりまた吸ったりする側。こんなのヤダ。お願いやめて……」
「カミラが本気で嫌がってる」
「ええ、そうですね。ファーハ様」
「やめる?」
「やめたほうが」
「また吸わせてもらおうね」
「はい、そのときもまた一緒に吸いましょう」
「なんで当人に断りがないのよ……あなたたち気が合いすぎよぉ?」
ちゅぴん、と彼女たちは私から口を離してにっこりと微笑まれる。
ああ、無邪気な笑みが眩しい。しっかし何を飲み込んだのやら。
これはダメだな。怒るに怒れない。
代わりに一人と一柱のほっぺにキスをしてあげる。
と、思ったら逆に二人に唇に交互にキスされた。完全に甘えモードだね……。
「甘えん坊は、これにて一度〆ますねぇ。はい、おっぱいナイナイしましょうね」
「ねえカミラ」
「うん? なあに、マリー」
「やっぱりわたし、あなたに愛されたい。日々、気持ちが強まるの」
「うん……」
「アタシもそなたが気に入った。ゆえ、アタシを愛する権利をくれてやろう」
「アッハイ」
話が進まんわ。
私は二人を膝に抱いたまま、魔神マオウ・ザ・ハクションを御降臨させるべく魔術を唱える。自分で魔法から魔術へと落とし込んだので最適な術式を組む。
壺は既に降臨済み。なので魔術のバランス調整は非常に楽ちん。
胴回りの大きな青い壺よりドライアイス気なスモークがもくもくと噴出する。
「呼ばれて出てきてじゃじゃじゃじゃーんっと。待ちくたびれたであるぞ」
「申し訳ありません。しかしてどうか、事情をお察しくださいねぇ」
「んむ。なのでおっぱいを」
「ダメですー」
「Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン」
「いやそれ二度目……」
「吾輩、女の子のおっぱい、大好き」
知らんがな!!
「この胸は、私の愛する女の子だけ触れるのを許します」
「……男は?」
「絶対ダメですー」
「むぐぉぉぉぉーっ!! おっぱいぃぃぃぃっ!!」
「叫んでもダメですー」
「であるかー」
けろっと素に戻る。変わり身が早い。
「にしてもそうじゃなー。以前よりそろそろ人の子たちとふれあうべく降臨したいと思うておったが、望ましいものではなくむしろ良くない顕現をしてしまった」
「ですねぇー」
「今思うに確かにそなたの申すように認識が狂って我が子まで間違えた」
「ですねぇー」
「吾輩の愛する娘を間違うとは……」
「まあ、想定外の降臨だったので致し方ないかとー」
「勢いだけでダンジョンまで作ってしまって」
「適当に頃合いを見て解除してくださいねぇー?」
「んむ、わかった。なのでおっぱい揉まして」
「奥さんに言いつけちゃいますー」
「やめて、それだけは……orz」
「あはー☆」
私と魔神マオウ・ザ・ハクションは同時に魔神ファーハを見遣った。
相変わらず眠そうな彼女は、お気に召したらしいマリーに頬ずりしたりとべたべたとくっついている。マリーはされるがままだった――私の膝上で。
魔神ファーハは、ふと、思い出したように父神へと視線を送った。
「おとうちゃまは、アタシのプリンを食べちゃった。あの日、前々から楽しみにしていた歌神のショーを見ながら食べようって店で予約までして買ってきたのに」
「うう……すまぬ……すまぬ……」
「家族みんなで食べようと思って、3個買って来たのに一人で全部食べるし」
「それはアウト。スリーアウトチェンジ」
「すまぬ……」
「おとうちゃまなんてきらーい」
「あらあら、まあまあ」
「うおおおおおーーんっ!!」
気持ちは分からないでもないが、つまらない理由で親子喧嘩してるなあ。
もちろん、食べ物の恨みは、思いの外、大きい。
「うーん、これって解決しないと、現状のままってコトよねぇ」
「カミラ、どうにかならない?」
「知ってるかもだけど食べ物の恨みはずーっと尾を引くからね。マキャベリも言ってるのよ。味方の財産と妻には決して手を出すな。恨みは裏切りに発展するって」
「大げさすぎじゃない?」
「食べ物は原初物々交換での代表的な取り引き物資。つまり貨幣と同じよぉ」
「まあ、うん」
「しようがない。じゃあプリン・ア・ラ・モードでも作ろっか? 想像魔法で」
「……プリン・ア・ラ・モードって何?」
マリーと話し合っていたら魔神ファーハが混ざってきた。
彼女も私の膝上にいるのだ。そりゃあね、普通に混ざってくるよね。
「ファーハ様が好きなプリンの進化系ですねぇ。プリンと各種フルーツ、たっぷりの生クリーム。マカロンを添えたりストロベリーソースをクリームにかけたり……」
「それ、食べたい!」
「吾輩も食べたい!」
「おとうちゃまは黙ってて!」
「しゅーん……」
あぁーあ。娘に押されまくってる父。見てられないね。でもこういうのも父親としては楽しみの一つとしているとか聞いた覚えもあるような、ないような。
「じゃあ、作ってさしあげましょうねぇー」
「あと、歌のショーも見たい!」
「歌神様をご降臨願うのですかぁ? 降臨魔法書があればいいのですが」
「んーん。アナタが歌って! アナタから知らない歌の気配がする」
「あながち間違ってはいませんねぇ、でも神様に奉納できるほどではないですよぉ」
「それでも聞きたい!」
「吾輩も興味ある。楽しいコト大好き」
「それではライブステージも一緒に作りますか……」
どうしてこのような展開になったのか。
ダンジョン攻略の最後が『戦いなんてくだらねえぜ、俺の歌を聞けぇ』とは。
まさかの状況に心の中でドン引きする。2100万のレベルがまったく無意味に。
そうそう、この一帯をなぜ15歳未満お断り区域にしたのかを聞いてみた。
なんと、マリーが関係しているという。
認識の狂いでマリーをわが娘と勘違いした魔神マオウ・ザ・ハクションは、自分は娘ではないと断るマリーのために自分たちの近辺区域は成人のみを侵入可能にして、間違いは間違いではなくマリーは自分の娘だと彼女を正そうとしたらしかった。
……正直、どういう理屈なのか、聞いた私にはちっとも理解できなかった。
まあ、認識が狂っていたから思考も多少おかしくなっても仕方ないよね……。
さて、おやつを作って、即興ライブステージを作って、歌って踊りますか。
【お願い】
作者のモチベは星の数で決まります。
可能でしたら是非、星を置いて行ってくださればと。
どうぞよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます