第8話 マリアンヌ・ブラムストーカー
アリス風のエプロンドレスを着た幼女に決闘を申し込まれてしまった。
彼女の名はマリアンヌ・ブラムストーカー。大体十歳くらいの金髪ツーテール&ツンデレ女の子。よし、次からはマリーと呼ぼう。きーめた。
「征くわよ! 大回転アターック!」
マリーはわざわざ宣言して、ゴロゴローっと前転しながら突撃をかけてくる。意外にも素早い動きではある。あるのだけれども……。
えっ、何その攻撃方法は? 内心でツッコミを入れる、私。
自爆特攻としか思えないのだけど? 大丈夫? 身体、痛くない?
しようがないわね……。
『ギロチン男爵の謎の愛人』
一応、ローリング攻撃だと思おう。私はダメージ代行のダミーちゃんを出して防衛に努める。え、攻撃? 暗黒騎士を使うと彼女、たぶん真っ二つになっちゃう。
「――ギャンッ!」
某ガンダム一年戦争で、壺だったか花瓶だったかが大好きなマ・○ベ大佐が乗っていたモビルスーツ……ではなくて、普通にマリーの悲鳴だった。
忘れていたけど、実はダメージ代行のダミーちゃんには、魔法反射と物理反射がそれぞれ五十パーセントずつ付与されているのだった。いやあ、これは失敬。
関係ないけど、マ・○べ大佐の乗るギャンの盾にマイクロミサイルとか仕込むのって危なくない? 敵の攻撃を防御受けしてドカーンって暴発したらどうするの?
それはともかく。
「や、やってくれたわね。この卑怯者!」
「むー。こんなちっちゃな子供に決闘を申し込むあなたも、大概だと思うの」
「うるさーい!」
「なので攻撃してきたから反撃するね。これを専守防衛というの」
「なっ、えっ、きゃあああっ!?」
「触手さんいらっしゃーい」
『怪奇植物』
想像魔法にて、植物由来の触手を大量に呼び出した。触手たちは見事、マリーを捕らえて宙空に固定する。もう、この時点で九割方私の勝利である。
私は触手たちを操る。この触手の先っぽには鳥の羽のようなフワフワが付いており、これで身体の敏感な部分をくすぐると、大変な目に……うふふ。
「はーい、コチョコチョ地獄だよ~」
「ちょ、やめて。ホントそれだけはやめっ……キャハハハハッ、うふふふふっ、やめてとめてキャハハハハッ、うふっ、うふふふっ、やめてええええっ!?」
やめるはずなし。降参するまでコチョコチョは絶対にやめない。
コ〜チョコチョコチョ〜。コッチョコチョ~。コチョリンコ~。
コチョコチョ〜。コチョコチョ〜。コチョコチョ〜。
コチョコチョコチョコチョコチョコチョ〜。コチョコチョコチョコチョ〜。
「あっ、あーっ!?」
どれほどコチョコチョ攻めをしたか、うん、わたしもノリノリでやってしまってよくわからない。緩急絡めて十分くらいは続けたかも。軽く拷問よね。それで突然、マリーは『アッー!』と独特の声を張り上げて、その後黙り込んでしまった。
しょわああああああああああ……っ。
失禁していた。それも盛大に。びしょびしょである。
止まらないお小水。ピンク色のスカート部分が、若干黄色に染まっていく。むしろ黄土色系統かな。ツンとくる独特のニオイ。マニア曰く、幼女聖水。
「うっうっうっ……出ちゃった……お漏らししちゃった……」
「ごめーん。やりすぎちゃったかもー」
「いいの……わたしが弱かったから……うっうっ……お漏らし温かい……」
涙目お漏らし幼女。意外と殊勝な態度。ちょっとキュンと来た。
仕方がないのでコチョコチョ地獄はこれで取り止める。代わりに、触手をくるくると操ってエプロンドレスを脱がし、衣服を洗浄してあげることにする。
『秘密の花園』
想像魔法でサッと洗浄をかける。魔法名称の由来はフローラルな花の香りから。
ちなみに別に脱がさなくても洗浄はできる。幼女丸ごと洗浄である。ではなぜわざわざ脱がしたかというと、敗北感を植え付けるためだった。
半端に反抗されても面倒なのよー。
だから一度脱がして全裸にして敗北を肌で感じさせ、丁寧に魔法で洗浄される自分と衣服を見て二度敗北を感じてもらう。ついでに下半身も洗浄で敗北感を上乗せ。
そして着せてあげる。触手を使って、ゆっくりと、優しくね。
無抵抗状態の幼女をお人形扱いで脱ぎ着せさせ、四度、敗北感を植え付ける。
エグい? でも、相手をなるべく傷つけず勝利するのって、難しいと思うの。
私は護衛の暗黒騎士からぴょんと飛び降りた。
「お漏らししたことは、ヒミツにしてあげるね。だから、おとなしくしてね?」
「……うん」
「イイコイイコ〜。ママには内緒でちゅよ~」
「うう……」
「可愛いから、チュッチュもしちゃう~」
「こんなちっちゃなバンパイアの女の子にほっぺキスされるだなんて……」
「嫌だった?」
「唇が冷たくて気持ちよかった……」
「にゃふふっ♪」
「……ねえ、血を吸わないの?」
「吸わないよ?」
「なんで?」
「マリーにもパパとママ、いるでしょ?」
「うん」
「求めて吸血鬼になりたい人は知らないけど、パパとママのいる年端もいかない子供なら増して、吸血鬼の眷属になんてなるものではないと思うの」
「う、うん。なんだか物凄い正論を語られちゃった気がするわ……」
吸血鬼はアンデッド。両親より先に死ぬなんてね、やっぱりそういうのはね。
まあ、それはともかく。
彼女の一本気なところがなんとなく気に入っちゃってね。思わず勝手に愛称を口に出しちゃったし。私、可愛い男の子も好きだけど、可愛い女の子も好きなのよ。
「……負けたわ。完敗。あなたの勝ちよ、ミナ・ハーカー」
「にゃあ。ではこれで終了するのー」
ひとまずは決着する。
一応、気持ちの上では警戒は解かないまま触手からマリーを開放する。
まあ、一本気な子なので敗北を認めた以上は襲いかかっては来ないと思うけど。
「ミナ、それであなたはどうするの?」
「実はね、パパのテレポートに巻き込まれたみたいなの。だからドラクロワ伯爵のところまで行って、そこにいるはずのパパと合流するつもり」
「魔苦死異無がいるかもしれないわよ。アイツ、変態機動でどこへでも行くから」
「パパは強いの。ドラクロワ伯爵よりも、ずっと、ずーっとね」
「そう……」
「――マリアンヌ、ここにいたか。む、小さいとはいえ吸血鬼がいるな! 離れるんだ、マリアンヌ! そのチビッ子の相手はこの私がしよう!」
振り返ると、高身長、流れるような長髪美形の青年がそこに立っていた。と同時にうわあ、と思う。耽美系腐敗作品の登場キャラみたい。肌が女性みたいに白い。タチかネコで言えば、二対八くらいでネコになる感じがするわ。アッー。
なるほど、このゴシックロマン系男子がアーカードかな?
私はそっと目を細めて、護衛の暗黒騎士に視線を送った。
【お願い】
作者のモチベは星の数で決まります。
可能でしたら是非、星を置いて行ってくださればと。
どうぞよろしくお願いします。
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