大河ドラマ「徳川慶喜」感想(8)
第44話「倒幕」
小松「一橋は軍制改革を大いに進めておる! 一橋は油断がならん!」
茂栄「俺?」
当時の資料でも桂小五郎が「一橋の胆力侮るべからず」と言ってるし、将軍になったのにあえて慶喜を一橋呼ばわりして反感を示すというのが当時の反幕派の風潮だったのかもしれない。
このドラマの慶喜は「朝廷と徳川が争えば朝廷を選べ」という父の遺訓に縛られ、母方の宮の血筋にも縛られたガチガチの尊皇主義者……という感じは全くなくて、あきらかに幕府中心主義者。
多分これがリアルなんだと思う。
およしと松島のどたばたパート。
松島だけじゃなくおよしも着物で暴れまわっても全然着崩れしないの凄いね!
尺が押せ押せとはいえ、史実が辛いので自分的には〇。
久光、怒りの大演説
「どこの藩も下の者たちががむしゃらに走り回り明日にも夜が変わるようなことを言うているが、何一つ変わらんではないか! 変わったのは幕府だけじゃ! 一橋が出てきてから軍制だけでなく製鉄所を造り始め、商社を計画し、朝廷さえ思い通りに動かしている」
「その方たちのように正論で押し切ればどうにかなると思うのは、間違いじゃ! 世の中が正論などで動いたためしはない!」
「下の者に任せろ下の者に任せろと言い続け、今になって夜を引っ張りだすとは何事じゃ!」
傑物といわれる小松と大久保も、久光の目で慶喜を比較対象にして見たら青臭い書生でしかなかった。い
「だいたいろくに口もきけぬような西郷を公家の屋敷に出入りさせるな! 相手に何を聞かされたかわかるまい!」」
とどめに欠席裁判でダメ押しの西郷dis。
そこに西郷がのっそりと入ってきて、久光の罵倒も蛙の面に小便状態で
久光「がみがみがみ(ꐦ°᷄д°᷅)」
西郷「一橋の首をはねればよろしいのです」
久光「」
なんと贅沢な漫才なのだろうか。
これらの長台詞を江守徹の美声と名調子で一気に語り下ろすんですよ?
最高じゃないですか!
パリ万国博会場で繰り広げられた幕府と薩摩の暗闘。
慶喜「田辺など即刻罷免いたせ!!(怒怒怒」
日ごろ鷹揚でポーカーフェイスの貴公子が本気で怒って横暴な態度に出るとインパクト強いな。
久光が慶喜を人外の怪物のように言い立てた直後で、慶喜も薩摩の攻撃に平気でいるわけじゃないという描写、本当にうまいです。
しかし慶喜が原の外出に「(襲撃に気を付けて)馬で行け」と注意するシーンは悲しいな…
ああああXデー到来、原市之進斬殺、忠成無惨!
しかし四侯粉砕と兵庫開港勅許もぎとりは5月のことなのに一気に8月まで跳んだのか。
そして朝方家の中ではなく夜に路上で襲われるという謎改変。
このドラマの原市之進は史実離れはしていないんだけど、水戸藩出身という以外背景を全く描いていないしすることと言えば慶喜の命に従ってお使いしてるだけだったからなあ。
俳優がことさらにイケメン(のちの島津久光である)なのは、せめてそこだけでも史実に近づけて脚本の不足を補おうというスタッフの苦肉の策か……
斉昭の命日が8月15日なのだよな。
慶喜が(明日は父上の命日だなあ……激務の日々だけどちゃんと供養しないとなあ)と思っているところに原の訃報が飛び込んできたのかと思うと悲しい。
このドラマの斉昭の病状と死の模様は、昔夢会筆記で語られる様子ほぼそのまま。
大久保「何か策を考えます」
久光「もう何も考えるな! 何もするな!(怒怒怒」
桂「御所を砲撃したぐらいで朝敵扱いとかいつまでいってんだしつこいな!」
西郷「諸君、私は戦争が好きだ」
なんか別の作品が混じってるがこのドラマの大政奉還直前期はこんな感じ
西郷はとにかく戦争屋、あいかわらずワガママな長州。
私は断じて佐幕じゃないつもりだけど慶喜びいきなので、明治政府要人の富貴や栄達ぶりを伝える文章を読むと悲しくなり
「クソッお前ら、慶喜公が得るはずだったものを奪ってエーヨーエーガしくさって」
と思わず言いたくなる。
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