大河ドラマ「徳川慶喜」感想(5)

本記事は視聴しながらtwitterに投降した文言を採録・編集加筆修正したものです。

完全に心覚え用の自己満足です。


第29話「将軍名代」

戊午の密勅を返す返さないであれだけの大騒動が起こったのに、大した定見もなく場当たりで「返さなくていいよ!」と決定する幕府。

密勅を前に、

「なんと定見無き幕府でありましょう。それは朝廷もです。こんなもののために、父上も命を落とされたのですぞ」

と一人煩悶を吐露する慶篤。

徳川慶篤にスポットを当てて心情を掘り下げた大河ドラマはおろか、創作物自体他に例がないかも·。

偉大な父と優秀な弟への複雑な愛憎、分裂した藩を率いねばならない苦悩、さらには水戸藩主に朝廷批判を語らせる(これは本当に驚愕もの)繊細にして大胆な脚本、そしてそれを演じ切る役者の演技…のちの山本勘助である…絶品です。


木戸孝允は明治以降のボロボロぶりが可哀そうだが、桂小五郎時代にさんざん公家をアジってテロもやって国を乱したことを考えると仕方ないのかな、と思う。


第37話「慶喜の頭痛」

天狗党の乱が勃発し、天狗党と幕府の板挟みに苦悩する慶喜は、天狗党を可哀そうがる梅沢のKY発言に切れる。

天狗党関連で「慶喜が天狗党を見捨てた」と巷間吹聴されるのが納得いかない。

天狗党が慶喜とは無関係に蜂起して、途中から唐突に慶喜の名前を出して大迷惑をかけてるのに。


そして、説明台詞だけとはいえ近藤勇の長州潜入を語った大河はこれくらいだろうな。

新選組ビッグ3のキャラデザ(といっていいのか)はベタだけど正統派で良き。

局長近藤は純白の羽織、土方と沖田は浅葱色の羽織。

新選組のシンボルのようになっているあの浅葱色で袖部分を山形に白く染め抜いたあの羽織は当時の絵画にも出てくるので実在したのは間違いないのだが、一着も現存していないという。

現存したら重文クラスと言われている。


天狗党って主君の命に背くわ一部は村を襲って金品強奪だけじゃなく無辜の民を殺してるわで、私の本来の感覚からすれば全否定されてしかるべき存在なんだけど(ドラマ中で幕府役人がいう「彼らは暴徒だ!」はまったくの正論)、嫌いになれないんだよね。

幕末で私が一番好きな藩は水戸藩です。


幕末政局後半を理解するうえで一番のハードルはもしかしたら

「御所に砲弾を撃ち込むぐらい尊皇的に大したことじゃない」

という感覚を理解すること、かもしれないな……


第38話「条約勅許」

1865年1年分を1話にまとめる力技回。

大久保一蔵大活躍(ウザさ全開ともいう)の描写、ナレすらなく全削除\(^o^)/

みんなやる気なしor勝手なことばかり言って、多方面から振り回され殴られ続けるケイキさん が可哀そうすぎる。


完全削除(ナレ死以下)の大久保ウザさ全開一蔵の代わりに描かれるのが、江戸城大奥。

当時25歳の深津絵里が演じる権高で威厳のある天璋院、若手芸能人にしては珍しい下ぶくれ気味の輪郭がいかにも公家らしい和宮、老獪を絵にかいたような瀧山。

衣装調度の豪華さ、画面から放たれる幕府の黄昏を示すがごときよどんだ空気。

過去に映像化された大奥の中でも屈指の出来と思われる。

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