第1話 希望の星、、、、?
*
「おい、見えてきたぞ!」
「勇者様の到着だ!!」
上空にはどこまでも突き抜けるような青い空が広がっている。
雲一つない、まさに晴天。
たまに落ちる影は鳥か飛行型の魔物かが上空を飛んでいるのだろう。
澄んだ空気の中を飛び回るのは気持ちよさそうだ
まさしく平和な午後。
一人の内面以外は。
(俺も鳥になりたいなぁ)
そしてそんな平和を後押しするかのような人々の元気な声が前方に広がる煉瓦塀の内側から聞こえてくる。
その声量はこの晴天をさらに押し上げてるかのように、でかい。
そう、声がでかいのだ。
(うるさい。)
王都は魔物の襲撃に備え、高い城壁で覆われいる為どのくらいの人々が正門前に集まっているのか見ることはできないがこの声量を聞く限りかなりの人数が集まっているようだ。
もしかしたら近隣の都市からも人が集まっているのかもしれない。
そんなことを考え、この陽気な天気の中で唯一人くらい顔をしていたディグルはさらに気分が落ちるのを感じた。
だがそこは仮にも勇者≪ディグル・アスフィロア≫、顔には出さない。
(なんで俺が、勇者やってんだよ、、、、、。)
我らが希望の星、勇者様の内心の気落ちなど誰も知るはずなどなく、人々はそんな勇者様に心からの尊敬と賞賛の声を送るのであった。
*
正門が正面に見えるまで王都に近づいた。
王都を初めて見たディグルは少しでも気分を上げようと目前に迫った王都を見る。
(でかい。そしてやっぱりうるさい。)
正門付近には想像通り多くの人が集まっているようだ。
だが甲冑を着ている騎士団らしき人達が規制しているのか馬車が通れるくらいの道幅は空いていることが遠目にも見えた。
そして城壁の外側はこれも魔物対策として王都を囲むように堀が掘ってあった。
そこに水が張られている。
そのため正門と裏門の二か所には橋が架かっているがこれは跳ね橋ではなく城壁と同じように煉瓦造りの普通の橋だ。
何でも跳ね橋にすると強度が足りずに荷重に耐えられないらしい。
そして堀の水だが非常時には魔法で浄化して生活用水として使うためでもあると堀が見えてきたあたりで騎士団の人が教えてくれた。
(魔法で浄化するなら水魔法で水出せば?てか常設の橋なら堀の意味ないだろ。)
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