第7話 初めてのお泊り…②



次の日の朝…


いよいよ、ダジュナール家の屋敷へ

戻る時間になった。


昨日は魔獣が部屋に侵入して、

怖い思いもしたけど…


ジンジャーさんのお陰で

無事、朝を迎える事が出来た。


「いやぁぁ…昨日は本当に怖かった…

まさか魔獣が部屋に侵入していたなんて

ジンジャーさんが来てくれて

助かったぁ… 」


ルクシ「そっ…そうだね

本当に ジンジャーお兄ちゃんが来てくれて

……良かった…ね」


ジンジャー「オーロラさん

安心して下さいね その魔獣とやらは

俺がしっかり……説教…いえ

追っ払いましたので!」



………………………………………………………………


………………………………………………………………



(昨日の出来事)

※ジンジャーの回想


オーロラ「いやぁぁあぁぁ 誰かぁぁ

魔獣が部屋にぃぃ !!!

助けてぇぇ!!!」


自室で寛いでいると、

オーロラさんの悲鳴が聞こえてきた


なっ…何事なんだ?!

魔獣?! ここはシラトス城だぞ

鼠一匹も侵入を許さない鉄壁の城


それに彼女の側には、

魔王様だって…………


……魔王様……


………なんか…嫌な予感がする

俺が考えている事が起きているんじゃ…


いや…まさかな…

魔王様にはちゃんと

ガッつき過ぎるなと言ったし…


いくらなんでも 魔王たる者…

寝込みを襲うなんて……


「……………………」


念の為、本当に魔獣だった場合も踏まえ、

俺と屈強な騎士(上司)2人で

急いで、オーロラさんが寝ている部屋に

向かった。


バンッ!!(ドアを開ける音)



「オーロラさん!!無事ですか?!」


ドアを開け、灯をともし

オーロラさんを見ると


オーロラ「ジッ…ジンジャーさん

グスッ…へっ部屋に魔獣が……」


ガタガタ震え、

魔王様(ルクシ君)を抱きしめて、

泣いていて、


抱きしめられている魔王様は、

目を泳がせて、俺の目が合わないように

明後日の方向をむいてた。


あっ……これ完全に魔王様が

やらかした奴だわ


上司2人も魔王様を軽蔑する

目で見ているから……

うん……確実に………


「んんっ…ゴホン!!」


シルク「………………」ビクッ!


さあ、何をやらかしたか、

オーロラさんで証明しようじゃないか


「こんなに震えて…可哀想に…

オーロラさん 大丈夫ですか?

一体何があったのですか?」


「ままま魔獣が 私を食べようと

肉感を確認する為、身体を触ったり

味見する為、口とか首筋とか舐められて……」


「身体を触られて舐められた……

オーロラさん 一旦、別室に移動しましょう

もしかしたら…魔獣が部屋に潜んでいるかも

しれない…」


わざとらしく、俺は辺りを見渡し、

まだ、魔獣がいる雰囲気をかもちだした。


オーロラ「はっはいっ……あの皆さん

申し訳ございませんっ…

真夜中に ご迷惑をお掛けしてしまって…」


赤く目を腫らし、

自分の体をさするオーロラさんを見て、

罪悪感を感じた


「迷惑かけただなんて…

とんでもない!迷惑をかけてしまったのは

こちらの方ですから…


ささっ…早く別室へ行きましょう

寒いので温かい飲み物を用意しますね


あの先輩方、オーロラさんを

別室まで頼めますか」



上司1「承知! ジンジャーは ルクシ君を頼むぞ」


オーロラ「えっ…ルクシ君を見てくれるんですか 」


上司2「はいっジンジャーが ちゃんと

朝まで 見守ってくれますので ご安心を…

オーロラさんは何も心配はいりません」


オーロラ「あっありがとうございます

……ごめんねルクシ君

今日は一緒に寝られなくて…

また、明日ね……」



こうして……魔王様を遠ざける為、

オーロラさんには

この部屋から出て行って貰った。



バタン!(ドアが閉める音)



「…………………………」


シルク「……あの ジンジャー…

安心しろ オーロラには僕の正体は

バレてないから……」


「……魔王様…まだ時間は

たっぷりありますし……

今からお話しましょうか」




※ジンジャーの回想終わり


………………………………………………………………


………………………………………………………………




「ルクシ君 あの後、お部屋別々になっちゃったけど グッスリ眠れた?」


…なんだか、とても眠たそうに見えるけど

大丈夫かな


ルクシ「ジ…ジンジャーお兄ちゃんが

子守唄 歌ってくれたから

ぐっすり眠れたよ」


「そっか!安心した

ジンジャーさんの子守唄を聞けて

良かったね」


ぐっすり眠れたなら

…私の気のせいかな?


ジンジャー「オーロラさん ルクシ君、

そろそろ転送の準備が整いました

早く魔法陣の中へお入り下さい

これに乗れば ダジュナール家のお屋敷へ

ひとっ飛びです」


前の方向を見ると、

転送用の魔法陣が

眩い光を放っていた。


「はっ…はい…」


魔法陣に

ジンジャーさんが一番最初に乗り、

続いてルクシ君が乗り、


最後に私………


「…………」


ルクシ「お姉ちゃん?」


…昨日お世話になったお礼を

言うの忘れてた…


それに……もしかしたら、

ここの方々とは一生会わないかもしれない


ちゃんと言わなくちゃ、

感謝の言葉とお別れの言葉を……


くるりと従事者達の方に向き

頭を下げ


「昨日からお世話になりました

見ず知らずの私達に食事等

ご用意をして下さいまして、

ありがとうございました


かかった費用はちゃんとお支払い

します


…では、皆さんどうか、お元気で…」


そう口にした時、

鼻の奥がツンとして


たった1日なのに、

みんな優しくて、思いやりがあって

まだ一緒に居たいだなんて

思ってしまった


ここで働けたら……


でもそんなの叶わないから…


思いを頭の中でうち消して

足早に魔法陣に乗った。



従事者1「大丈夫ですよ またすぐに

私達と会えますよ」


「………えっ? それは一体 どう言う…」


思い掛けない従事者の言葉が帰ってきて、


どう意味なのか聞き返そうとした瞬間



ヒュン!!と音を立て

景色が変わってしまった。

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