第8話 赤髮を持つ貴女…①
…………………………………
………………………
シラトス城が見えなくなり
数分も経たないうちに…
「ルクシ君、オーロラさん
ダジュナール家のお屋敷に着きましたよ 」
ジンジャーさんの声が聞こえ、
そっと目を目を開けると…
「……!!」
見慣れたダジュナール家の屋敷が
目に入った。
「はっ早い… もう着いたんですか…
さすが転送魔法!!
私達じゃ歩いて4時間もしたのに…」
ジンジャー「4時間も…それは…大変したね
今度は転送魔法で俺たちが迎えに行きますね」
(魔王様…何で彼女を歩かせたんですか
貴方ならひとっ飛び出来たでしょ)ちらっ
ルクシ「…………」
(仕方ないだろ…人間の子供の姿じゃ
何もできない それにオーロラが起きていたら
元に戻るのはできないだろ)ちらっ
ジンジャー(…そっ…それもそうですね…
失礼致しました)
「ありがとうございます
もしシラトス城に何らかのご縁が
ございましたら お願い致します」
多分、この先
絶対シラトス城に行く事はないと思いつつも
私はジンジャーさんに深々と頭を下げた。
バタ バタ バタ (足音)
ん? 何やら足音が……
もしかして……
坊っちゃま「オーロラ!どう言う事だー!
その餓鬼 まだ此処で預けんのかよっ!!」
ああ…やっぱり、坊っちゃまだ
見る限りかなりご立腹のようだ
坊っちゃまが誰よりも一番、
ルクシ君とさよならする事を
喜んでいたしね…
「もっ申し訳ございません
坊っちゃま…まだルクシ君の
新しい住処が決まっていなくて…
もう2週間…住まわせていただけないでしょうか
お願い致します」
…怒られるかな…当たり前だよね
私だってルクシ君とお別れだと
思ってたから…
最悪、メイドの仕事クビに
なっちゃうのかな…
クビ覚悟を決め
ビクビク肩を震わせていると
坊っちゃまから意外な言葉が返ってきた。
坊っちゃま「……しょうがねぇーな
最後まで責任持って
ちゃんとその餓鬼を見ろよ
……俺も何か出来る事があれば
手伝ってやってもいいぞ」
「…坊っちゃまっ……
ありがたき お言葉を…
オーロラはとても嬉しいです」
…あの…あの坊っちゃまが
人間の私に労りのお言葉を…
そう言えば…
最近の坊っちゃま
なんだか優しくなったよね…
色んな人達に気配りするように
なったり、
暴言や無理難題な命令が無くなってるし…
一体どうしちゃったの?
ルクシ「……………」ギロッ(坊っちゃまを睨む)
坊っちゃま「ひいっ!…とっ取り敢えず
その餓鬼の今後について
詳しい話を聞くから とりあえず中に案内する
アッサム!ジンジャー殿らに部屋の案内を
してくれ!」
遠くから 「はーい畏まりました」と
アッサムさんの声がして
トタ トタと足音が近づいた
アッサム「坊っちゃま…
お待たせ致しました
ではさっそくお部屋にっ………」
ジンジャー「………………………」
坊っちゃま「…ん?どうした?アッサム」
アッサム「いえっ!なっ何でもありません
失礼致しました…
でっ…では さっそくお部屋に案内 致します」
アッサムさんは慌てて、
前を向き、ゆっくり歩き出した。
どうしたんだろう?
いつもの彼女なら笑顔で
応対するのに……
ジンジャー「…………………」
ルクシ「ジンジャーお兄ちゃん?」
ジンジャー「…すっすみません!
ぼーとしておりました
いっ行きましょうか!」
ルクシ(もしかして…ジンジャー…
ふーん…あのジンジャーがね
あとで問い詰めよ 今後、
良い相談相手になるかも…)
あれっ?ジンジャーさんも
なんだか様子が…調子が悪いのかな?
もしかして…昨日の魔獣退治で
疲れているんじゃ……
…飲み物は出す際は、
リッラクス効果が出る物にしよう
先に歩くジンジャーさんを見て
お茶やお茶受けを何を出そうか考えた。
……………………………………
……………………
アッサム「おおお お飲み物お持ちしました!
どっどうぞ!」
ガッシャン!(ティーカップを置く音)
ジンジャー「あっ…ありがとうございます
いっいただきます!」
先程から2人の様子がおかしい
何故か挙動不審になったり、
言葉につっかえが…
一体どうしたんだろう?
坊っちゃま「おいっ アッサム?!
今日は一体どうしたんだ?
いつものお前は完璧にこなすだろ」
アッサム「とっとても元気ですよ!
今日は本当にどうしたんでしょうかね
調子悪いのかな」
アッサムさんは あははっと
いつも通りの表情で笑って見せたが、
若干、頬が赤い
そして サッと持っているお盆で
顔を隠した。
坊っちゃま「おい……本当に大丈夫か?
今日は休んだ方が…」
アッサム「坊っちゃま、メイドたる者
これだけで休む訳には行きません!
では、一旦失礼します
……ジ ジンジャー様はごゆっくりー!」
バタバタバタ バタン!!
ジンジャー「………………………」
(行ってしまわれた 彼女はアッサムさんと
言うのか…もう少し居てもよかったのに…)
…なんだか心配だな…
アッサムさんの様子が気になる
でも今からルクシ君の今後を
話し合わないといけないから…
すぐには彼女の所へは行けない
話が終わったら…
坊っちゃま「…オーロラ、お前は
アッサムの様子を見に行ってこい
この餓鬼の今後については
俺が話をつけるから 行け」
「…!ありがとうございます
では、お言葉に甘えて…
行ってきます!」
私は坊っちゃまに頭を下げ、
部屋を出た
バタン! バタ バタ バタ……
シーン………
…………………………………
…………………………
坊っちゃま「……よし 行ったか…
いやー…ワガママな坊々を演じるのは
面倒くさいですね…あと使用人達に対して
申し訳ない気持ちでいっぱいです
……魔王様、ジンジャー様
申し訳ございません ご無礼をお許し下さい」
ジンジャー「コバルトさん…
ご苦労なさってるのですね
気にしないで下さい 因みにご両親は?」
坊っちゃま「親父とお袋は
俺の金で旅行に行かせました
2週間後に戻ってくる予定です
……だから、今は絶好のチャンスです」
シルク「それが、本来の性格か…
演技力のレベルが高いな
本当に俺も騙された…
是非、僕のシラトス城に働いて貰いたい
あっブラック企業じゃないから 安心して」
坊っちゃま「魔王様、ありがとうございます だけど、俺にはやらなければいけない事が
あるので…おそれ入りますが時間を下さい」
シルク「ああ…僕はいつでも
待っている さてと……」
シルクは呪文を唱え
元の姿に戻り…
シルク「始めようか…話し合いを
ダジュナール家の悪事を
明るみにしなくてはな……
流石にこれは見逃す訳には
いかないからな…」
赤い瞳を光らせ、不敵な笑みを浮かべた。
……………………………………………………
…………………………………………
………………………………………
「アッサムさん…どこに行ったんだろう」
部屋を出て私は彼女を探す、
料理場に洗い場、仕事仲間にも彼女の行方を
伺ったが、それでも見つからない…
…もしかしたら、
まだ、今日の担当場所にいるかもしれない
彼女の今日の仕事場……
奥様の庭園だ!
そうと分かれば、
早速レッツゴー!
庭園まで歩き続けて15分…
「いたっ!アッサムさーん!」
彼女を見つけ、
手を振り駆け寄ったけど…
アッサム「………はぁ……素敵な方だったな…」
「アッ…アッサムさん!!」
アッサムさんは上の空で、
片手に持っているジョウロは
傾け ダバダバと水をこぼしていた
「アッサムさん、気をたしかに
戻って、戻って!」
アッサム「はっ!! 私ったら…
ありがとう オーロラさん」
「いえいえ、大丈夫?
顔も赤いけど もしかして体調悪い?
休んだ方が……」
アッサム「ううん!体調は悪くないの!
………あのオーロラさん実は……」
「うっ……うん」
いつも、明るいアッサムさん、
なのに…今日は…頬を赤く染めて
瞳を潤ませている
美人さんがさらに美人さん!
…女性の私がドキドキしているから
男性だったら絶対イチコロだ…
アッサム「今日いらっしゃる
ジンジャー様……」
「ああ、ジンジャーさん!
あの方、とても綺麗ですよね
アッサムさんと負けない位!
その方がどうしたの?」
アッサム「…………………….……」
すうっと息を吸い込んで
意を決して…
私の瞳をまっすぐ見てこう言った。
アッサム「……そのジンジャー様に
一目惚れしてしまいました…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます