第13話 衣装準備(舞踏会2日前)
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舞踏会まで残り2日となった。
私、オーロラは自室で、
仕事の身支度をしていた。
「あと2日でルクシ君に会える
楽しみだな でも…まさかシラトス城に
また、行けるなんて…」
あの時はもう二度と来ないだろうと
思っていた場所
だってあんな…豪華で
お偉いさん達が沢山いるような場所
人間の私が訪れて良い場所じゃない
…シラトス城には…
魔王…シルク・クリアラン様が
いらっしゃるんだっけ
以前、行方不明になったいたけど
1ヶ月ほど前に見つかって…
国民へのお詫びとして彼は、
シラトス城で舞踏会を舞踏会を
開催させる。
見かけによらず、イベント好きと言う
噂はどうやら本当のようだ
笑顔を見せない整った顔、
人間の私でも分かる程の禍々しいオーラを
放っているのに…なんだか不思議なお方…
そう言えば魔王様って…
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(回想)
店員女性「なんだか…このお坊ちゃん
髪の毛と眼の色が【シルク魔王】と
同じで羨ましいですね」
「…シルク魔王?」
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高級服店の女性店員さんとの
会話で思い出した。
…なんだかルクシ君に姿が似ている
…髪と目の色はもちろん…
あの大人っぽい雰囲気も……そっくり
……もしかして、ルクシ君は……
「……いや いや ないでしょ私…」
いくらなんでも妄想が酷すぎる
この屋敷に居たなんてあり得ない…
もし、ルクシ君が魔王様だったら
非常に不味い…
何故なら私はルクシ君と…
手を繋いで、抱きしめて…
一緒に寝て、一緒にお風呂も入ったから…
あと部屋にルクシ君がいても、
平然と着替えもした。
「……………………」
今までの何気ない行為を思い出して
最初は羞恥心で顔が赤くなったが…
ある事に気づきみるみる顔を青ざめた。
まっ…待って これって罪に問われて
私…牢屋にぶち込まれるんじゃ
魔王様に対し無礼な行為をしたとして…
最悪…終身刑か死刑も……
おおお…落ち着け…私!!
まだ、ルクシ君が魔王様と
決まった訳じゃない
……きっ…気の所為だよ
私の考えすぎだよ
考え…
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ルクシ『それに気づいているんでしょ
僕が人間じゃなくて…
『オーロラ』より歳上だって?
…子供が言う憧れ的なアレじゃないからね?
忘れたら許さないから』
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………すぎなのかな……
…別れ際にルクシ君が言った言葉
あの日から頭に媚びりついて
離れない…
綺麗な緑色の瞳は深紅の瞳に変わり、
私の姿を捉えて
まるで【僕から離れたら許さない】
そう言われているような気がした
「人間の子供じゃないなら
彼は本当に………」
次の言葉を述べようとした瞬間、
ドン ドン ドン
ドアを叩く音がした。
「はっはーい、今行きます!」
急いでドアを開くと
アッサムさんが息を切らし
立っていた。
アッサム「オーロラさん!坊っちゃまが
使用人全員、三階の広間に急いで来るようにって命令が…」
「えっ…坊っちゃまが…」
使用人全員? 今までそんな事無かったのに
何か重大な事が起きたのかな…
不安に思いつつも…
アッサム「急ぎましょ オーロラさん」
「うっうん…アッサムさん」
三階の広間へと走り出した。
私とアッサムさんは
急いで、三階の広間へ向かい、
ドアをノックして開くと…
料理長「やっと来たか、オーロラ
アッサム」
「料理長!お疲れ様です」
広間の中には料理長や執事、
使用人全員が既に集まっていて…
ヒソ ヒソ ヒソ
みんな、なぜ坊っちゃまに呼ばれたのか
分からず、使用人同士話し合っていた。
あの優しい坊っちゃまが
使用人全員を呼び出すなんて
何かあったに違いない…とか
今日はよっぽど重要な事を
言われるのではないかとか…
色々と憶測が飛び交っていた。
料理長「……しかも、今日は領主様と
奥様が出掛けていて、屋敷にいない
……きっと両親には知られたくない事だろうな…」
アッサム「ご両親に…知られたくない事…
一体…なんでしょうか…」
アッサムさんと料理長で
うーん…と頭を抱えていると…
ドン ドン ドン
ドアを叩く音がして、
ガチャっとドアが開いた。
坊っちゃま「よし、全員揃ったな…
申し訳ないが親父達が帰って来る前に
ちゃっちゃと済ませるぞ」
坊っちゃまの姿を見た瞬間、
全員、目が点になった。
坊っちゃまの姿は変わらない、
ただ、怪しげな大きな袋を担いで、
部屋に入ってきたのだ
そして…真ん前の台まで移動して、
使用人達を見渡し、
こう言った。
坊っちゃま「お前たち、まずはこれを
一つずつ受け取ってくれ」
坊っちゃまは大きな袋から
小分けにした袋を取り出し、
使用人 1人ずつに手渡しをした。
流石に坊っちゃまから手渡しは
失礼に当たるとして使用人達は
一列に並び、自ら受け取ろうとしたが
坊っちゃま「これぐらい俺にやらせろ
……まあ、並んでくれてありがとな
お陰で渡しやすくなった」
苦笑いをして、一列になった使用人達に
謎の小分けした袋を渡した。
坊っちゃま「はいっオーロラの分
これで皆んな行き渡ったな」
ずしっ…
小分けの袋を受け取った瞬間、
重みを感じた。
……一体、何が入っているんだろう
坊っちゃま「中を見ていいぞ」
袋を開いて、中身を見ると、
舞踏会の招待状と分厚い札束が
3つ入っていた
※私とアッサムさんは招待状を
持っているので、袋には札束3つのみ。
どよ どよ どよっ(どよめき声)
中身を見た瞬間、
使用人達は驚いた顔をして、
どよめいたり、中には袋を落とす人もいた。
坊っちゃま「俺からの命令だ、
明後日、使用人全員
シラトス城の舞踏会に参加して貰う
そんで、その金は舞踏会に必要な正装服と
アクセサリー代、交通費だ、
もし、余ったら 返さなくていーぞ
好きなように使え」
…こんな大金…ドレスやアクセサリー等を
買っても有り余る…
1年位働かなくて良いぐらいに…
料理長「坊っちゃま これは一体、
しかも中には、明日、明後日が
勤務の人も…」
使用人①「それにこんな大金…
私達 全員は坊っちゃまに色々と
お世話になっています!
それで充分です いりません!」
坊っちゃま「ああ、それなら
今日の午後から明後日まで全員お休みにする
お前……いや、皆さん…」
坊っちゃまは、料理長達に説明した後、
使用人に向けて頭を深く下げた。
坊っちゃま「今まで、酷い仕打ちや
態度をとって申し訳御座いませんでした
俺の事を許さないで下さい 恨んでください
このお金と舞踏会は俺にとっての
最後の我儘です
お願いします…受け取って下さい」
「「坊っちゃま…」」
頭を上げ、坊っちゃまは、
申し訳なさそうな顔で…
坊っちゃま「話は以上だ
さっ そろそろ親父達が帰って来る
各自、担当場所に戻るように
あっ…舞踏会についての詳細は
招待状に書いてあるから、
一通り見てくれ では…解散!」
早口で事を言い、広間を出た。
私達に有無を言わせないように…
「「……………………」」
料理長「なあ…皆んな…坊っちゃまの事
どう思う…なんだかまるで…」
その場に居る全員の顔が
悲しい表情になった
だって……あの坊っちゃまの表情、
説明も…まるで…
使用人②「ええ、『最後の別れ』みたいな
感じだったね」
最後の別れ、…もう二度と俺はに会わない と
そう言われているような気がした。
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