第11話 保護者失格①(残り2日)
ルクシ君とのお別れまで、
残り2日となった。
私、オーロラは可笑しくなったかも
しれない。
……理由は…
ルクシ「おねえちゃん どうしたの?
お顔が赤いよ 大丈夫?」
「だだ大丈夫! 今日は少し暑いからね
それで、顔が赤くなっちゃったかも」
ルクシ「…ふーん…そっかぁ…
ふふっそうなんだ…」
「…………あははは………
あっついなー(棒読み)」
あぁ、まただ…
ルクシ君の大人っぽい笑顔を見ると、
胸が熱くなってドキドキする。
3日前のあの日から…
…それにね…
ルクシ「おねえちゃん しゃがんで?」
「あっ…うん……!!……」
こつん(オデコとオデコをくっつける音)
ルクシ「本当だ 少し熱いね 」
なんだか、最近 私への触り方が…
意識させているような感じで……
……って何考えてるの 私!!!
子供に対して、変な目で見るんじゃない!
そんなの保護者失格よ
そうだ、大人っぽい笑顔も、
触り方も気のせいだ
私の気にしすぎたよ絶対!
ルクシ「おねえちゃん…
僕の手冷たいから
こうすれば……」
「……ルッ…ルクシ君?!」
オデコをくっつけたまま
ルクシ君は両手で私の頬を挟んだ。
近い 近い 近い……
くっ唇が当たりそう
こんなのまるで….
ルクシ「ねっ?これで少しは熱下がったでしょ」
「……………………」
……そうだ…
…ルクシ君はただ純粋に
私の熱を下げてくれてるのに
私…なんて邪な感情を……
「……うん、ありがとうね ルクシ君」
お礼を言いつつ…私は…
ごめんね…ルクシ君…
汚い感情で貴方を見てしまって…と
心の中で謝った。
「よっよーし!熱も下がったし
今日もお仕事頑張るぞ」
ルクシ「行ってらっしゃい
おねえちゃん 無理しないでね?」
私の頬からゆっくりと手を離し、
あの大人の笑みで私に手を振った。
「行ってくるね ルクシ君!」
内なる想いがルクシ君に
バレないよう無理矢理
空元気で手を振って……
バタン!!
自室をでた。
自室をでた瞬間……
もう…私の心はルクシ君に対しての
罪悪感がいっぱいになった。
…………………………………………………
…………………………………………
……………………
※(ルクシside)
…やっと、やっとオーロラが
僕に意識し始めた…
いや、本当に長かった。
オーロラ、鈍感なんだもの…
子供らしさのアピールは
全部【可愛い】で一蹴されている。
ダジュナール家の屋敷にいるのは
残りあとわずが…
だから、僕は少しずつ
子供らしさをやめて、
素でオーロラに接してみた。
その結果…ついに3日前、
僕に対して オーロラは目を見開き、
頬を赤く異性として意識し始めた。
あの時は、本当に嬉しくて、
手の甲にキスをしてしまったのは
少し反省…
心の優しい彼女なら
許してくれるかな
まだ、子供のスキンシップだと思い
気にしないようにしているか…
きっとオーロラは「私は子供に対して、
なんて感情を」とか思っているだろうな…
そんなの気にしなくて良いのに
たった10歳差じゃん
実際だと278歳差だ
まっ僕は年齢なんて気にしないがな
ごめんね、オーロラ
その優しさ利用させて貰うね
もう…此処に居られるの
残り2日しかないから
出来る限り、意識をさせて
僕の存在を忘れさせないように
しないと…
再びオーロラの前に現れるのは
来月に開催される舞踏会…
再会まで期間が結構開くしな…
ああ、舞踏会がとても楽しみだ。
思わず口が緩んでしまう。
それに…オーロラ…
以前、恋愛に憧れがあって…
舞踏会で運命の人探すとか
言ってなかったけ?
僕という存在がいながら、
舞踏会で他の男と目移りするのは
許さないし、絶対させない。
だって……
オーロラの運命の王子様は、
この僕【シルク・クリアラン】に
決まってるだろ?
ねえ…オーロラ?
……………………………………………………
………………………………………………
担当場所の【庭園】につき、
植物の手入れを始める。
普段なら綺麗な花を見ては、
笑顔になるんだけど…
「はぁ……」
今日は溜息がつき
心がどんよりと重い
いけない、いけない、今は勤務中…
ちゃんとお仕事をしないと
3日後には領主様達が帰ってくる
その前にちゃんと庭園を綺麗にしないと
でも……
「……あんな小さな子供に
ときめくなんて……
私…可笑しいんじゃ…」
坊っちゃま「おいっオーロラ」
「…明後日には もうお別れなのに
いつも通りに接しないと…」
坊っちゃま「……おーい、オーロラ」
「…ルクシ君の為よ あの子の未来を
潰して溜まるもんですか!
最後は笑って見送るんだから」
坊っちゃま「オーロラっ!!!」
「はっ…はぃぃ!!」
大声で私の名前を呼ばれたもんだから
ビックリして後ろを振り向くと
坊っちゃまが腕を組み、
不機嫌そうに立っていた。
坊っちゃま「たくっ…やっと気づいたか」
「申し訳ございませんっ
坊っちゃま…どうしましたか?」
坊っちゃま「いや、お前が沈んだ顔
しているから様子を見たんだよ
……もしかして、あの餓鬼と何か
あったのか?」
(ここ最近、魔王様が本気を出しているからな
気になって様子を見にきたが……
大丈夫か…オーロラの顔…悲しそうだぞ)
「ルクシ君……
坊っちゃま、私 可笑しくなったかも
しれません…」
…迷惑かも知れないけど、
坊っちゃまに話してみようかな…
10歳離れた子供にときめいてるなんて
言ったら…引かれるかもしれないけど
いや、逆に引かれて『それはおかしい』と
はっきり言われた方がいい
そうしたら、それはおかしな事だと
ちゃんと気づいて、
いつもの接し方に戻れるから…
坊っちゃま「なんだよ…可笑しいって
言ってみろよ…」
「ありがとうございます
では、言いますね ……私…」
すうと大きく息を吸い込んで
意を決して、坊っちゃまに打ち明けた。
「最近…ルクシ君の笑顔や
ふとした大人の雰囲気に
ときめいてしまって……可笑しいんです」
坊っちゃま「…………」
……ついに言ってしまった。
やっぱり、引かれたかな
坊っちゃまは なんだか静かだし…
すると…坊っちゃまは…
坊っちゃま「……はぁー…やっとかよ」
…と頭を抱え、
壮大にため息をついた。
「へっ…やっと…とは?」
坊っちゃま「いっいや、何でもねえ
それで、オーロラはその餓鬼に
恋愛感情を抱いているって事か」
…れっ恋愛感情…
私がルクシ君に…
改めて思い返すと…
ときめく前だって…
この頃の私はルクシ君が喜ぶ為、
色んな事に挑戦したり…
坊っちゃま相手にお願いしに行ったり…
いつの間にかルクシ君が隣にいるのは
あまり前だと思うようになってしまった。
全てはルクシ君の
喜んだ顔を見たい為に…
……そうかも知れない
きっと…このトキメキも
胸の痛みだって……
「……はいっ坊っちゃまの言う通りです
…私、ルクシ君にこっ恋しているんだと
思います…多分…でもっ」
坊っちゃま「何か、問題でもあるのかよ」
「……はいっ…幼い子供に対して、
そんな邪な感情抱くなんて保護者失格です!
……なので、坊っちゃま…
今の話を聞いてどう思ったか
はっきり仰って下さい」
お願いします!と坊っちゃまに
頭を下げ懇願した。
さあ、可笑しいって言って下さい!
そうしたら私はっ…
すると…坊っちゃまから
予想外な答えが返ってきた。
坊っちゃま「何が可笑しいんだよ?
もしかして、歳の差を気にしているのか
…たしかに人間と妖精なら 短命だし
気にするだろーけど…
他の種族は何とも思わねーぞ 」
「……えぇ?! じゃあ坊っちゃまも…
気にしないのですか?」
坊っちゃま「全く気にしねーよ
なんだ、心配して損したじゃねーか…」
…種族の価値観の違いなのかな…
坊っちゃまの答えに私は理解が追いつけず、
呆然としてしまった。
坊っちゃま「あぁ、それとオーロラ!」
「なっ何でしょう!!」
坊っちゃま「今から俺が言う事を聞いても
あの餓鬼に対しては、いつも通り接しろ
命令だ いいな!」
「? はっはい!」
坊っちゃま「俺から言える事はあの餓鬼は
人間じゃないし、お前より歳上だ
だからお前は可笑しくない!!安心しろ」
「……?!…坊っちゃま今のは一体
どう言う意味っ…」
なんですか…と聞こうとしたけど、
坊っちゃまが会話を遮って…
坊っちゃま「悪りぃ…ジンジャー様が
そろそろ来るから俺はもう行くわ
今の話は他の奴らには言うなよ!」
そう言ってそそくさと
足早に立ち去ってしまった。
『人間じゃない 私より年上…』
じゃあ、私は子供を好きになった
訳じゃないのね
危うく自分の性癖を疑う所だった…
……よかっ…良くないよ!!
歳上って…まさか…大人って事?
もし、その話が本当なら、
今まで私…ルクシ君と…
一緒に寝たり、お風呂も……
それに、人間じゃないってどう言う事なの
色々考えても謎が深まるばかり…
ねえ…ルクシ君…君は一体何者なの?
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