第5話 紅い月に照らされるシラトス城②
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次の日のお昼頃…
ダジュナール家から出発して
休憩を兼ねながら歩き続け
4時間後…
「ほぁぁ…ここがシラトス城…
間近で見たの初めて…大きい」
ルクシ「…………」
私とルクシ君は
シラトス城の門の前にいた。
またの名は【魔王城】…
時間はお昼のはずなのに
魔王城の付近の空は暗くて…
ギャアッ ギャア…
どこからか鳥の鳴き声が不気味に聞こえ
赤い月が怪しく光っていた。
「……………」
なんだか…少し怖い場所だな
一日中、暗いなんて…
ギュッ(服の裾を掴む音)
「………!ルクシ君?」
パッとルクシ君を振り向くと
彼の顔が少し青くなっていた。
「…………」
もしかして、ルクシ君も怖いんじゃ
……子供にとっては少し怖い所では
ないんだろうな…きっと…
…なら…
「ルクシ君 大丈夫だよ
シラトス城は悪い人達がいない
安全な場所だよ」
ルクシ「……おねえちゃん」
「それにね…人間じゃ一生入れない場所だよ
ある意味ラッキーだよ!私達!
中はどんな風になってるか
私、とても楽しみだな!」
安心させるには…
私がうきうき気分になれば、
きっとルクシ君の恐怖も和らげるはずよ
……どうかな?
ルクシ「……そっか…そうだよね
おねえちゃんはそう言ってくれると
思った……安心した…」
ふふっと笑い、
私の手をきゅっと握ってくれた
よかった!
これは少し恐怖が和らげたかな?
顔色も明るくなっているから
そうだといいな
「じゃあ中に入ろうか
ルクシ君 きっと城の方々も
明るく出迎えてくれるは……」
???「お待ちしておりましたオーロラ様
遥々遠くから お越しいただき
誠にありがとうございます」
「……?! 」
驚いて
バッと声がした方向を
振り向くと男の人が立っていた。
男の人はシルバーの短髪に
ターコイズ色の瞳を持っていて
背中には綺麗な髪と同じ色の翼を
生やしていた。
うわぁぁ…すっごい美形さん…
目の保養だよ
見惚れちゃいそう……
ルクシ「…ちょっと…おねえちゃん…」(むすっ)
「はっ!! いえっ…こちらも
わざわざ門の前までお出迎え
ありがとうございます!」
…いっけいない
少し見惚れちゃった
ルクシ君の声かけがなかったら
このままずっと見惚れていたかも
知れない…
ふー…危ない、危ない、
人間の私がずっと見ていたら失礼だよ
ダジュナール家だったら
確実に奥様にぶっ叩かれる
私は小声で『ありがとう ルクシ君
声を掛けてくれて』と感謝の言葉を言った。
ルクシ「……どういたしまして 」
そう私に伝えると
ルクシ君は頬を膨らませながら
そっぽを向いた。
???「……随分…気に入られているのですね
…いや執着かな?」
「へ?…気に入られている」
???「あっいえ、なんでもございません
……あの申し遅れました
私、シラトス城の騎士をしております
『ジンジャー・タリズ』 と申します」
「ジンジャーさん よろしくお願い致します
私はダジュナール家でメイドをしております オーロラ・オリベと言います
それと…この子が……」
ルクシ「……ルクシです」
ジンジャー「…シ…えーごほんっ!
ルクシ君と言うのですね
では、お二人とも長い旅路で疲れましたでしょう ひとまずお茶にしましょう」
ジンジャーさんは、くるりと前を向き、
ジンジャー「お部屋に案内致します
私に付いて来て下さい」
私達の歩幅に合わせ、
ゆっくり歩き出した。
ルクシ「行こうよ おねえちゃん」
「うっ…うん!」
続けて私もルクシ君に手を引かれながら、
城の門を潜り、シラトス城の中に足を踏み入れた。
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