第4話 モジュール街にて…


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ダジュナール家の屋敷を出て

3時間後…



「ルクシ君…いいねその服!

とっても似合ってるよ!」


「…ありがとう おねえちゃん」


私はルクシ君の服選びの為、

モジュール街の高級服店にいる。


…高級服店なのは、

領主様と奥様の指示で、

流石にそこまでお金をかけなくて

良いのではとおそるおそる伝えた所…


奥様「なんて命知らず!!

いいから貴方は私達に従いなさい!!!」


…と 何故だか ものすごい剣幕で怒られた。



…にしても……


「こんな豪華なお店入るの初めて…」


お店の外装は目で押さえるほど

眩しくキラキラしていて、

中は広くて迷路みたい


しかも迷子防止用と服選びのお手伝いで、

お客様に対して、

お店の人が1人付いているなんて…

サービスのレベルが高い…


…はっきり言って

…私…場違いなんじゃ…



店員女性「お客様、どうさないました?」


「あっ…いえ、なんでもございません

あのルクシ君は?」


…いけない お店の外装の豪華さに

挙動不審になっちゃった


お店の人に私が貧乏人だとバレてしまう!


平常心、平常心……


店員女性「お坊ちゃんでしたら

元のお洋服のお着替えに

あっ戻ってきました」


ルクシ「おねえちゃん お待たせ…」


「おかえり ルクシ君! 素敵なお洋服

いっぱい買えて良かったね」にこっ!


ルクシ「……うんっ///」


選んだ服を嬉しそうに両手に持ち、

私に笑顔を向けるルクシ君

相変わらず可愛いなぁ…


店員女性「なんだか…このお坊ちゃん

髪の毛と眼の色が【シルク魔王】と

同じで羨ましいですね」


ルクシ「……………っ…」



「…シルク魔王?」


…たしか、シラトス王国を統治する

現魔王様だよね…


一度、小さい頃

魔王様の姿を見た事がある



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国のパレードでシラトス城から

出てくる所をちらっと…


…青みかかった長い黒髪に

ダークグリーンの綺麗な瞳が

印象に残ってる…


その後は…奴隷商人に連れられて

シルク魔王はを見たのはそれっきり

だっけ…



「思い出しました!

一度私も見た事があるんですよ

小さい頃でしたが、あまりにも綺麗で

思わず見惚れちゃいました

たしかに似てますよね」


ルクシ「…………!!!」



店員女性「でしょう!

それに顔も整って…将来この子

シルク魔王のようにイケメンなりますよ



だけど…そのシルク魔王…」


さっきまで明るく話していた女性店員さん

顔が暗くなった。



「…? どうしたのですか?」


店員女性「実は…数日前から

突然、姿を消して

行方不明になっているのですよ」



「………え……行方不明?!」


女性店員「はい…実は今朝シラトス城の

従事者達がお探しの張り紙を

渡すとともにそう告げられました」


そう…女性店員さんがすっと指を

指した方には…




シルク魔王の似顔絵が

描かれたお訪ね者の紙が

壁に貼られていた。



………………………………………………


シラトス王国 魔王

シルク・クリアラン 295歳


種族:魔族


現魔王。妻子はなし。

魔力が莫大にあり、

それは国を1つ簡単に滅ぼす程に…

実際に国を滅ぼした経験あり。


青みかかった黒髪に

宝石のようなダークグリーンの瞳

容姿端麗で一度その姿を見れば、

老若男女、夢中にさせる。


クモード王国の王様とは友人関係


噂ではお嫁さん候補が100人位いる。


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以上、女性店員さんが私に教えてくれた

シルク魔王の現在の情報…


「………国を簡単に滅ぼす程の力……

嫁候補100人…なんだか…

凄い方なんですね…シルク魔王って…」


女性店員さんに対して

口ではそう言ったけど…



心の中で正直に言うと…


ある意味…別次元だよ!!

はっきり言って人間の私からしては、

怖いし!!破廉恥!!!


あぁ…私がイメージしていたシルク魔王が…

壊されていく…


あんなに綺麗な方だから、

てっきり物静かで、

絶対に不純交遊とは関係なく

奥さんと子供を大事にしてるかと

思っていたのに…


国を簡単に滅ぼすって…

まず、やばいでしょ!!

その経験もあるって…


人間なんて一瞬で消し炭に

されるじゃないの…


そして、嫁候補100人って 何?!

何処のハーレムよ!!

どんな思考してるの

うらやま……けしからん!!!


私だったら無理だね 一夫多妻なんて…

もし、恋人が出来て そうなった場合、

泣いて すぐ身を引くだろね きっと!!



店員女性「でしょ!やっぱり素敵ですよね…

しかも2ヶ月に1回シラトス城で

パーティを開催されていますから

貴方もシルク魔王を狙っているなら

参加してはいかがでしょうか?」


「あはは…考えておきます…

見つかると良いですね シルク魔王…」


店員女性「えぇ、そうですね

無事であります様に…」





………………………………………………



…………………………………


…………………………



ルクシ「……おねえちゃん…大丈夫?」


「だっ大丈夫よ…ちょっと【シルク魔王談義】に疲れただけ…」


ルクシ君の洋服を買い終わり、

ダジュナール家のお屋敷への帰り道


私はへとへと になりながら、

ルクシ君の手を引いて

帰路へと足を進めていた。


ルクシ「…ふーん…そっか…

ねぇ おねえちゃん 」


「ん?どうしたの??」


ルクシ「おねえちゃんは…シルク魔王の事

嫌いなの?」


「えっ?!どうして そんな事 言うの?

嫌いな訳ないわよ!とっても憧れてるよ」


…ただ、シルク魔王の経歴に

怖さと嫉妬をしただけで…


ルクシ「……だって 店員さんと

話している時のおねえちゃん…

嫌そうな顔していたから」


……嫌そうな顔していたんだ

私…気付かなかった…


あっ…ルクシ君が泣きそうな表情を

している


まずい!ルクシ君にとって

シルク魔王は憧れの存在なんだ…

絶対…


えっと…何か言い訳を…

ルクシ君が傷つかない言葉……!


「……えっと あの美人な店員さんが

シルク魔王に詳しくて…

羨ましくて なんだか悔しくて……

私、少し嫉妬しちゃった」


…なんだこれ

こんな言葉じゃ 醜い大人の例じゃないの


あぁどうしよう

ルクシ君、軽蔑するんじゃ…


ルクシ「嫌いじゃなくてよかった

嫉妬…そっか…そうなんだ

ふふふ 」


……ん? ルクシ君の表情が明るくなった?

なんで?理由は分からないけど

とりあえず笑顔になって良かった


ルクシ「じゃあ、おねえちゃんも

シルク魔王の事好き?」


「もちろん!好きよ ルクシ君と同じだよ」






あの時は…

ルクシ君を悲しませないように

言った【好きよ】の言葉…


もし…あの日の私に伝えられるなら、

こう言いたい…


『嘘をついてでも絶対にルクシ君いや…彼に

【好きよ】だなんて言わないで』…と





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