第3章 私と父の話

 思春期に入り、母からの圧が加速していく中、私はたびたび過呼吸に襲われたり、道で突然吐いたりするようになっていた。おそらく私がそんな状態だったことを、両親は知らない。父はもう亡くなったが知らないまま逝った。



 父は私を否定するようなことはなかったが、肯定することもなかった。ただ、やたらとスキンシップが多いのが嫌だった。



 特に性的な意味はなく、本当に愛情=スキンシップみたいなところがある人で、特にお酒に酔ってご機嫌になると、ふざけて脚を握られたり、お尻を軽く叩かれたりしたのだが、思春期の女子にとってそれは嫌悪感以外のなにものでもなかった。



 うちはしょっちゅう、母子で叔母の家との間を行ったり来たりしていたのだが、母は父に触れられて父に噛み付いている私を、叔母と顔を見合わせてニヤニヤと笑って見ていた。



 そこは母から父の方に、「女の子にそんなことをしてはいけない」と言って欲しかったのだが、そんなことは期待するだけ無駄だった。



 父も仕事から帰り家でくつろぎたいところに、いつも叔母や従姉妹が家にいるのをどんな気持ちで見ていたのだろう。



 母は私たち家族といるよりも、断然、叔母と居るときの方が楽しそうだった。



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