とある国の兵士達

「ひどいな…ほとんど生き残りがいないぞ。」

 このは、戦利品がまったく手に入らないだろう事に隊長がこぼした事だった。


 あれだけ好き勝手に世界中の国々を荒らしてくれたのだ、少々の戦利品をもらっても俺達も許されるだろうと。


「もう勇者達にほとんど討ち取られているだろうが、奇襲には気をつけろよ。各員城内の探索を開始してもらう!」


 そしてゾロゾロと4人一組で探索を開始する。居住区と思わしき場所になら戦利品もあるだろう。

 他国に遅れを取るわけにはいけない。


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 結局の所、勇者達は玉座へと一直線に突き進んだのだろう、居住区と思わしき場所は綺麗な物で、死体が転がってたりもせず、逆に我々が生き残りを始末した。


「…この部屋幹部の部屋だろうに、殺風景だな。花瓶に花が活けてあるだけだ。」


 部隊の斥候が慎重に扉を開け、中を覗いた所の感想がそれだ。誰もこの最低限の机や椅子、あと質素な花瓶に花が活けてあるだけの部屋を見て幹部の私室だとは思わないだろう。


「…何もなさそうだな。次へいくぞ」


 斥候はそういい、扉を閉めなおし、次の部屋へと向かった。


 そこは-

 四天王か魔王の私室であろう、絢爛けんらんな部屋だった。

 ここは当たりじゃないか?と互いを見合わす四人。


「よし、まずはこの部屋を捜索しよう。工芸品なんかはまだどの国も疲弊してるから売れないだろうがな…」

 ベッドのシーツから、何から何までが高級品と思わしき部屋。全て剥ぎ取って部屋を出るが-


「…ここだけ妙に間取りが広いな?部屋のサイズと通路の壁のサイズが合わない…きっと隠し扉かなんかがあるな?」


 もう一度調べ直すぞ、と斥候が言うので部屋を探ると-


 偶然開けてしまった。そこにあったのは-


 女性物の装飾品の山、ドレス、口紅、そして-

 何通か書き直したであろう手紙の山。


「…魔族つっても、女に送る物は人間とそう変わらねえって事か…」


 魔王が人間と魔族とのハーフということを知らない末端の兵士はそう呟き、先に一個や二個くすねるかどうか悩んだ末にそうせず、仲間を呼んで部屋を漁ったのだった。

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