第43話「大学祭があるってのに、だって先輩がそう言う気にさせたんです!」
翌朝のことだった。
目が覚めるとベット近くの窓から朝日がカーテンを透けて差し込んでくる。
チュンチュンと小鳥の囀りが聞こえ、また新たな一日が始まる。
そんな爽やかな朝の兆しを感じさせていた————はずだった。
「せんぱい……腰が痛いですよぉ」
と、起き上がった俺の隣で腰をさすさすと撫でる涼音。
上半身はもちろん裸で、布団からはみ出している部分はもちろん素肌が見えている。言わずもがな、俺の方も裸だ。久々にこうして自分の裸をまじまじと見ているがなんとも惨めだ。
サッカーをやめてからというのも徐々に肉がつき始めて今では自慢のシックスパックもほとんど見えていない。
まぁただ、ふっといるわけでもないしもともと体格は良い方なので脱いでも筋肉質だと個人的には思っているが……って俺の裸なんて興味はないわな。
とにかく、隣にいる上半身裸の涼音は何というか、言葉には出来ないほど美しかった。
胸の大きさは何度も言っているが大きくて、ただそれでいて大きすぎることもないのでバランスがとてもいい。
垂れることもなく、張りもあって、弾力もあり、それはそれは綺麗なものだった。
胸から下のお腹や腰も、そして布団に隠れて見えていない腿や足も、すべて丁度いい肉付き具合で柔らかく温かさを感じる。
まさに理想。
そんな感じだった。
正直、一晩をほぼ裸で共にした俺もまだ慣れない。
どうしてこんなに可愛くてスタイルも良くて胸も大きな純粋な女の子が俺の事を好いているのか理解しかねている。
「あのぉ……聞いてます?」
ほんと、まだ実感が湧かないと言うかなんというか。
やっぱり俺でよかったのかなぁ……なんて考えてもいるし、もう、だめだな俺は。
ヘタレはどこまで言ってもヘタレってことだな。
でもまぁ、仕方ないじゃないか。俺はそういう性格なんだよ。あんなことがあって以来慎重になったんだから。
てか、よくよく考えたら俺、ヤッてから考えてるからなんも意味ねえよな。ま、まぁでも許してほしい。
昨日の涼音がめっちゃエロかったのが悪い、そうだ!
「聞いてますかっ!!!!」
「んがっ——⁉」
すると、耳を劈く声がした。
驚く間もなく俺は飛び跳ねてそのままベットを飛び降りた。
「な……いてぇ……」
「それはこっちの台詞ですよ。なんで聞いてないんですか……もぅ」
「え、な、なんか言ってたか?」
「——はぁ、もう! 言ってましたよ! 昨日の先輩のピストンが情熱的すぎて腰が少しだけ痛いってね!!」
「ぴっ――!? お、おまっ……な、何を急に……」
「急にも何もじゃないですよぉ。なんかお尻がジンジンするんですよ……」
「そ、そうなのかっ? それは——その、ごめん」
「まぁ、別にいいですけどね? その、昨日の激しさはすっごく嬉しかったですし……何より、やっと先輩に認められた気がして嬉しかったので」
「あ、ありがとう……ございます」
「あんなあっついセックスされたんですから許しますよっ……先輩、大好きです」
「うぐっ……お、俺もだ」
「はいっ! なんなら二回戦やっちゃいますか? いっそのこと生でもいいですよ?」
「ば、馬鹿言え!! そ、そんなこと言ったら……ていうか、その恰好で言われると歯止めが利かなくなる」
心なしか、俺の下半身の最も熱い部分が熱くなっていってる気もするしな。
だって話す度におっぱいが小刻みに揺れてるんだもん!
慣性の法則にのっとって横揺れがすっごく!!
「あははっ! 先輩、いいんですよぉ? 私なら先輩のためにいつでもここは準備してますしぃ~~」
やめてほしいのにやめない涼音。
何なら今度は布団から這い出てきてパンツを艶めかしい動作で撫でている。
これ、誘ってるよな?
絶対、誘ってるよな?
確信犯だよね、いいよね!
そんな声が下半身から登って聞こえてくる。
「っふふ! 分かりやすいですね、せーんぱいっ?」
「んな⁉」
「もう、股間に山出来ちゃってますよぉ~~丸わかり過ぎですっ」
「……それはその……すまん」
「別に攻めてないので大丈夫ですよ! むしろ嬉しいですっ~~、そっかそっかぁ私の体って先輩の事興奮させちゃうんですねぇ」
「……う、うん。だから気を付けろよ? 襲っちゃうかもしれないしな」
「はーい! むしろ襲ってくれてもいいんですよぉ」
「……っく、し、知らないぞ」
どこまで揶揄ってくる余裕ありありな彼女。
いくら彼女になったからとは言え、あまりにも違い過ぎだ。大体昨日なんてめっちゃ真っ赤で恥ずかしそうにしてたし。
てか!
「——電気、け、消してほしいって言ってたくせに」
「うがっ‼‼」
「ちょ、な、なに⁉」
ぼそっと嫌味っぽく呟くと急に肩をビクつかせた涼音が俺に飛び掛かってきた。
真っ赤な顔で、だらだらの汗で、俺に飛び乗りお腹の上にお尻を乗っけた。
「——そ、それは封印ですっ!」
「もう遅いぞ」
「だ、だって……あれはその、初めてで恥ずかしかったんです…っ」
「……可愛いな」
「うっ……あ、ありがとうございます」
「おう、それでいいんだよ。可愛い彼女なんだからなっ」
すると、涼音がぷるぷると小刻みに震える。
丸見えの胸がぶるぶるしていてそんな動きに目を奪われていると——彼女は思いっきり抱きしめながら唇を重ねてきた。
「んっ……⁉」
「……んぁ……んっ」
「ん……ぅ」
「ぁ……んん……っ」
舌がこすれ合い、涎が入ってくるのがよく分かる。
体が徐々に熱くなり、どんどんと熱がこもって内側から湧き上がる何かを感じる。
やばい、やばい、やばい。
そんな感情が支配して俺も抱き着き返して、床に押し付ける。
結局、その後。
俺と涼音は大学祭に行く前までもう一度セックスをやってしまったのだった。
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