第15話「先輩の妹さんが可愛い!!!!!」



「はぅううううううう!!!! かわいいね、可愛いね~~ぇ、もう大好き!!! むちゅうう!!!!!」


「や、やめてくださいっ!!! お姉さんっ‼‼」


 誤解が解けたところで、リビングへ連れて行くと三苫さんが深雪の相手をしてくれた。


 まるで子犬を愛でるかのように、膝に座らせてなでなでしていて、深雪も口では嫌がりながらも少しまんざらでもなさそうな表情を浮かべている。


 それにしても本当に誤解が解けて良かった。あの感じじゃ三苫さんガチギレしていた。別に俺と三苫さんはそう言う関係にないのだが、付き合っていなくても自分が家にいる段階で見知らぬ女性とくっついていたら誰でも嫌な気分になるだろう。


 俺も、しっかり反省しなくては。何か間違えがあったら、三苫さんにも申し訳ない。あの時助けた責任も多少は感じているしな。


 ひとまず、深雪の荷ほどきでもして、今日はゆったり過ごすことにしよう。






 すっかりと二人は打ち解けていて、あの事件の話や俺の昔話などをしていた。まぁ、全部妹が勝手に話しているので俺は耳に入れないようにレポート作業を続けていたのだが。


 ほんと、身内に話される昔話ほど聞いていて辛くなるものはない。


 しかし、音と言うのは残酷で勝手に耳に入ってくる。


「いやぁ……でも、まさかお兄ちゃんが助けたのはこんな美人さんなんて思ってもいなかったですよぉ……」


「えへへ、それはそれは……」


「いやぁ、ほんと。スタイルもいいし、顔も整っていて……もしかしてモデルさんでもやっています?」


「やっていませんよぉ……で、でも……ぃの専属ならぁ」


「専属⁉ ど、どこかに所属してたりするんですか⁉」


「や、やってないです……」


 三苫さんが深雪の質問攻めを食らっていて、正直可哀想だ。しかし、女子同士の話を妨げるのも違って俺は黙って聞くことにする。


 しかしまあ、深雪のハイテンションぶりはすさまじかった。男勝りでいつもうるさいので平常運転と言われたらそうだが昔から一緒にいるのでよく分かる。


 今日は幸せそうでかなりテンションが高い。


 まぁ恐らくだが三苫さんを間近で見ることができているだろうけど。


 実際、俺が例の事件に関わったことでいろんなニュースに載ってしまっていたので当時特に何も言わなくても妹に情報が回ってきていた。なんなら三苫さんはテレビのインタビューで答えていたのでネットでも可愛いと話題になっていた。


 それを見た深雪はよく「ずるい! 私にもこの美少女を紹介してよ!!」と言っていた。


 昔から可愛い女子を見つけては声を掛けに行っていたおじさんみたいな奴なのであれだが、きっと本当に会えたのが嬉しかったのだろう。


 ラインでは再会した旨を教えはしたが実際会うのとでは違うようだ。


「いやぁ……でも、それにしてもですよぉ。まさか本当にお会いできるなんて……思ってもいませんでしたよぉ」


「私こそっ、深雪さんに会えて光栄ですよ! 将来の妹ですからっ」


「い、妹⁉ えへへぇ、こんな兄と交換してほしいくらいですねぇ~~。毎日膝枕してほしいもん!」


「ひ、膝枕は……まだ、先輩にもやっていないので……」


「ほぅ……?」


 すると、何かくみ取ったのかニヤニヤ顔で俺の方に視線を移す。


「何だよ」


「そう言えば、二人って再会したのはいつなんだっけ?」


「え、あぁ……多分1カ月と少し前くらいかな? 新歓の時だし」


「そうですねっ……まぁ、もっと前から見てはいたんですけど」


「え?」


「いや、なんでもないです。1カ月前であっていますよ?」


「それなら……二人はほら、色々と積もる話もあるんじゃないんですか?」


 ニマニマ。

 何を言っているのか。


 積もる話なんて、あるわけが——


「そ、そうですね……あるにはあるかもしれないです……っ」


「え、あるの⁉」


 頬を赤らめながら呟く三苫さんの発言に思わず突っ込んでしまった。


「ひゃ」


「あ、いや……すまないっ」


「えへへ……でも、まだ早い気がするので積もる話は……内緒です」


「そ、そうか……」


「お似合いですね、お二人とも!」


「うっせ」


 調子に乗る深雪にチョップをかますと、「うげ」と声が漏れる。


「痛いよぉ! 何するの!」


「うるせえ、これ以上茶化すな……ほんと、三苫さんも困ってるだろ」


「うへへへぇ……えへへぇ」


「こ、困ってる……うん、困ってるからやめろな!」


 そうして、波乱万丈なゴールデンウィークが遅く幕を開けたのだった。




「そう言えば、深雪は今日から大学行ってくるのか?」


「えっと、今日も一応行こうかなって思ってる! すぐなんだよね?」


「あぁ、歩いて五分かそこらだ」


「じゃあ今から行ってこようかな。一息付けたところだし」


「おけ、それなら俺らは……」


「お料理振舞いたいので買い物はどうでしょう?」


「確かに。そう言えば深雪にはまだ言ってなかったけど、今日は三苫さんが料理を作ってくれるんだと」


「え、ほんとですか⁉」


「はい、腕によりをかけて美味しいものを作りますよ」


「やったぁ!!」


 子供のようにその場で跳ねる深雪。

 ここはアパートだから跳ねるのはやめてほしい。


「うるさいっ」


「いでっ⁉」


「静かにしろ」


「た、叩かなくても……」


「そうでもしないと収まらないからな、深雪は」


「うぅ……」


「てなわけだ。とにかく、俺たちは買い出しとか行ってくるから。その間に好きなところ見てきな」


「う、うんっ。本格的なのは明日からだから、すぐ帰ってくるけどいい?」


「大丈夫そうか?」


「え、あぁ、はい。大丈夫ですっ」


「じゃあ、そういうわけだ。行くか、三苫さん」


「はい……行きましょう」


 三苫さんと俺は買い出しに、そして深雪は一人で大学散策に行くことになった。





 しかし、俺はまだ知らない。

 これからの一時間で大きな修羅場になることを……。





 まさか、あんなところに元カノがいるだなんて、思ってもいなかった。







<三笘涼音>


 深雪ちゃん、とにかくかわいかったです!

 やっぱり将来の妹は最高でした☆


 あ、でも二人をあんまり仲良くさせちゃうと禁断の愛につながっちゃうし、深雪ちゃんは私が独占しなきゃ!


 


 星評価、フォローよろしくね♡


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