この想いは届きますか?
【Start playing】
『――これで大丈夫かな?』
『今度は上手くいくといいな。これは違法行為になるし何回も失敗してるから不安だけど。どうか、お兄ちゃんに届きますように……』
『……お兄ちゃん』
『おはよう。こんにちは。こんばんは。お兄ちゃんのいる場所にこのVRレターが、いつ頃に届くか分からないから全部のあいさつをしておくね!!』
『ひさしぶりだね、萌衣は元気だよ!!』
『見てもらえば分かるかな。私、変わったんだ!! もちろん髪型だけじゃないよ』
『あ、そうか、座ったままじゃ見えないよね。待ってね、これで見えるかな?
どう、さすがに鈍いお兄ちゃんでも、気がつくよね!!』
『胸のワッペンで分かっちゃうかな? この制服とっても可愛いでしょ!! セーラーブレザーの制服は珍しいんだよ。前にも話したよね。萌衣が行きたいっていってた女子校。何と合格することが出来たんだ!! すごいでしょ萌衣もすっごく頑張ったんだよ。お兄ちゃんと会えない
『あっ、勘違いするといけないから話しておくね。まだ高校には通ってないよ。新しい制服が、入学前に届いたから試着してるの』
『萌衣の制服姿、一番最初にお兄ちゃんに見てもらいたかったの……』
『どう、気に入った!! 感想が聞けないのが残念だけど』
『……』
『今の私たち、ブンツウみたいだね。ううん、それ以上に厳しいかも。ふふっ、逆に何だか笑える。ブンツウでも二週間くらいで届くのに』
『きっと心配してるよね。最後の通信があんな形でお別れだったから……』
『萌衣もいっぱい泣いた。お兄ちゃんのことばかり考えて。一日だって忘れたことはないよ……』
『だけど、お兄ちゃんと交わした約束を思い出したの。もう涙はやめるって!!』
『お兄ちゃんがいてくれるから私は笑顔になれるんだよ。はじめてお兄ちゃんと出逢えた日。差し伸べてくれた温かい指先……』
『私が迷ったり、悲しんだり、苦しいときにいつも萌衣を導いてくれた。だから私、信じてる。いつかまたお兄ちゃんと会えるって……』
『萌衣が強くなったのは誰のおかげでしょう、って聞いたこと覚えてるかな?』
『……私を強くしてくれたのはお兄ちゃんなんだ。あのときの言葉がとても嬉しかったよ』
『しばらく会えなくても萌衣はずっと忘れないよ!! お兄ちゃんに恋したこと……』
『大人になっても絶対に忘れない。だから待っていて、私のこと』
『萌衣は距離や時間になんか負けない……』
『お兄ちゃんのことが大好きだよ』
【End of playback】
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