わたしのお兄ちゃん……。
『――ねえ、お兄ちゃん』
『呼んでみただけだよ』
『私ね、お兄ちゃんって呼ぶことに憧れていたんだ。仲良しな女の子の友達は、
お兄ちゃんやお姉ちゃんのいる子が多いの。何だか羨ましかったんだ。えっ、そんなにいいもんじゃないって!? お兄ちゃんも兄弟はいないのになんで分かるの?』
『そうなんだ、お兄ちゃんの友達の話か。本当に妹からウザいとか言われるの? 友達が家に遊びに来ても兄貴を紹介したくないって!?』
『……やっぱりうらやましい。きっと本当は仲がいいんだよ、そのお友達と妹さん。家族だから本音で話せるんだと思うな』
『えっ、なんで萌衣は僕のことお兄ちゃんって呼ぶの。……ううっ、それを聞いちゃうの。憧れていただけって説明したでしょ。理由はそれだけじゃないだろ、って。どうしても言わなきゃ駄目――!?』
『絶対に笑わないでね、約束だよ!! お兄ちゃんって私のことをすぐ笑うんだから』
『……だって名前呼びだと芽衣恥ずかしいから。お兄ちゃんのことが好きすぎてこれ以上好きになったらおかしくなっちゃう』
『……』
『笑わなったのは偉いけどごめんね、お兄ちゃんもこんな女の子はウザいよね……』
『僕も可愛い妹が出来て嬉しい。だからウザくないって……!? お兄ちゃん、それは駄目な答えだよ。萌衣はお兄ちゃん呼びでいいけどお兄ちゃんに妹扱いされるのは嫌……』
『だってお兄ちゃんは萌衣の彼氏だから妹じゃなく彼女にして……』
『……』
『……うん、ありがとう。真顔で言われるとかなり照れるけど、
本当に嬉しいよ、こんなに長く離れてるとキモチだけじゃなく、お兄ちゃんの言葉で聞きたかったから』
『萌衣は生まれてきてから、今日がいちばん幸せ!! お兄ちゃんと出逢えて良かった……』
『……何!?』
『政府より緊急通達……?』
『あと三十秒で階層間の全通信を強制終了!? 再開時期は未定って!!』
『緊急通達、同じ内容がお兄ちゃんの政府からも出てるの!?』
『嫌だ!! お兄ちゃん、もう会えなくなるなんて!!』
『お兄ちゃん、萌衣は……!!』
【force a shutdown】
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