第6話 問題!
学校行事。
ましてや有名な企業の子どもなどの金持ちや有名人、成績優秀者やらが生徒として通う、この学校のウォークラリーでこんな……
こんなふざけたクイズ出されることある?
「問題!」
デデン! という効果音を手動で出しながら目の前のおじいさんは早々とクイズを始めた。
店に入った途端、目と目があったらうんたらかんたらとでもいうように始まったこれに一瞬脳が追いつかなかった。
「先日ワシは孫にとあることをされ、感動しました。さて何をされたでしょう!」
元気なジジイだな。
「肩たたき券をもらった?」
「えーんそれもイイ〜! じゃが違う!」
このおじいさん、やけにテンション高くないか?
先日とやらのことが今も長引いてるのだろうか。それはそれはたいそう嬉しいことだったんだろうな。
流れで答えた一紅衣さんはバツの判定に対して、真面目に考え直している。
「あ! 誕生日にプレゼントやろ!」
「自慢じゃないがの、それは毎年くれるんじゃのぉ〜」
おじいさんの誕生日はまだ先らしい。
必要だったか? その情報。
「好きって言ってもらえた!」
「……言ってほしいのぉ」
プレゼントはもらえるのに好きとは言われないんだ……
まあ孫の年齢考えたら思春期とか気恥ずかしさで言いづらいとかありそうだよな。
「……」
「答えんのかい? 一応一通り聞きたいんじゃがの」
クイズに参加しない俺に標準を定めてきた。
「……貯めたお小遣いでここの時計を買ってくれた」
「うぅ……!」
ピンポンピンポンピンポーンという正解の音が、おじいさんの啜り泣きと共に店に響いた。
なんなら鳩時計も動いた。
「え、正解しましたの!? わたくし頑張って考えてましたのよ!?」
「ただの客では?」
悔しそうにする一紅衣さんと正解の答えに納得のいかない下畑さん。
「鳩時計初めて見たわぁ」
そしてマイペースな久保くん。
「何を言うとるんじゃ。ワシが丹精込めて作った作品や必死で集めた最高の作品が並ぶこの店の商品を買ってくれるなんて、ここを認めてくれたようで嬉しいじゃろう!」
「でも買ったのは地域の子どもが作ったおまけ商品……」
「ぐぎぎ……」
この街は定期的に街活性化のためなのか、昔から地域に建つ店の品物を作ってみようというイベントが開催されている。作ったものは各自持ち帰ったり、その店でお手頃な値段で売ってもらえたりする。
「……よく見たらその顔……先週来た小僧じゃな」
やべ。
「そんなにウォークラリー楽しみだったん?」
どう考えたらそこに繋がるんだ。
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