私の監禁日記

@itocolchi

第1話 独特な香り

父さん、母さんが死んで今日で2年。時が経つのはとても早い。最後に写真を撮ったのは中学校3年のゴールデンウィークの時だったか。あのキャンプだけでも一緒に行けてよかったな。

「ちょっと雄介!いつまで仏壇の前で手を合わせてるの!遅刻するよ!」

「5月19日は火事があった日だからな。いつもより長くここにいたいんだ。すまん行くか」

「うん。私も少し急かしてごめんね。」

「大丈夫だ。じゃあ学校行くか。」

「うん!」


俺は今、親が残してくれた遺産で暮らしている。毎日近くの家に住む幼馴染の香織がご飯などの家事全般をしてくれる。香織の家は共働きだから朝、夜はほとんど一緒に食事をする。

「そういえば今日はサッカー部の部活はないの?」

「今日は朝練も放課後練も無い珍しい日なんだよなぁ」

「お!じゃあ今日の買い物手伝ってね!」

「…マジで?」

「男子なんだから荷物くらい持ってもらうわよ!」

「へい。」

毎日、こんな平凡な会話をしながら学校へ向かう。

学校までは歩いて20分ほどだ。本来なら自転車でもいいが、なぜか香織が歩きにこだわるから、毎日歩いている。

「あー遅刻しなくてよかった〜」

「今日はいつもより少し遅いくらだな。」

「ん?そっちは部室の方だけどどうしたの?」

「俺、とりあえず靴だけ部室に置いてくるから、先に教室に行っててくれ。」

「わかった!」

今日の練習はないが、明日に備えて靴くらいは置いとかなきゃだしな。


ん?なんか部室から女子の声が聞こえる。今日は部活無いし、いるとしたらマネージャーが掃除をしてるくらいだけど。

「あんたさ、少し先輩にチヤホヤされてるからって調子乗ってんじゃねーよ!」

「わ、わたし、そんなつもり…」

「さては私以外のマネージャー2人がいなくなったのは、あんたの仕業でしょ。1人は飲酒とタバコの疑惑で退学。もう1人は行方不明。城山と仲良くしてるのが気に食わなかったんでしょ!!!」

パァン!!

「私、もう2年のマネージャー担当辞めて、1年か3年の方に行くから。」

部室を見るとマネージャー2人が喧嘩をしていた。しかも今何かを叩かなかったか?これはすぐに止めないと。

「おい!部室で何してるんだ!」

「城山…なんでもねーよ、私クラスに戻るから、じゃあ。」

「お、おい。」

行ってしまった。

「せ、先輩…」

「雪か、どうしたんだ?何かあったのかって、顔赤いけど大丈夫か?!」

まさかさっきのなにかを叩いた音って…、まぁ窓が空いてたから聞こえるくらいの音だったもんな。

「だ、大丈夫です…」

マネージャーの雪が涙を浮かべながらそう言った。

「大丈夫なわけがないだろ!保健室に行こう!」

俺は雪を半ば強引に保健室へ連れて行こうとした。


だが






「えっ」



俺はスタンガンで気絶してしまった。

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