第76話
獅々神茜。
私達の2つ上の先輩であり、”最高の苦痛を与えてこそ我が人生!!”を謳っていたサディスティックバイオレンスな人物だったという。
それで、なんでもこの先輩様は先々代の生徒会長様と密接でwin—winな関係を築いていたとのこと。獅々神先輩方が引き起こすあらゆる事件を揉み消す代わりに、生徒会長様の依頼で邪魔になる生徒や大人達を暴行、恐喝、脅しなど様々な汚い仕事を請け負っていたそうです。
――……こわっ。
「こわっ」
「私は中等部からこの学校に居る癖に、何一つとして知らなかったyouが怖いよ」
「知らないんじゃない。忘れてるだけ」
「あらあらまあまぁ、よくご存じで」
「尚更度し難いのだが?」
仲良しこよしで皺が寄った眉間に指を当てる柊生徒会長と二宮君。二人の仰る通りで私は先々代の生徒会長様はおろか、暴力と恐怖の代名詞とも呼べる獅々神茜先輩の事を何も知りません。またして年明け前の……屑之介? 元担任の先生の時と同じで私だけが知り得ない状況です。
「一応言っとくが、獅々神兄や先々代の生徒会長の退学にはyouの幼馴染である島之南帆の兄君も関わってたんだぞ?」
「? 誰?」
「――really」
「yes」
「アンビリーバボー」
「あ、そこはなんちゃって英語なのね」
「喧しい」
頭痛が酷くなったのか更に皺が寄る眉間。もう皺くちゃです――が、意外な事に絵になっています。美人は悩む姿でさえも絵になるとテレビに出ていたタレントさんが言っておりましたが、まさにその通りですわい。
「――で? そんなサディスティックラブなヤベー先輩を二宮君と柊生徒会長が退学させたと?」
「正確にはそれの手伝い。柊生徒会長の前の生徒会長と副会長、当時の副会長と会計の二人が主体で動いてて、後輩の俺達や霧島先輩……島之南帆の兄と残り数名で上二人から頼まれた仕事をこなしてたってだけ。俺と霧島先輩が指定された相手の護衛や監視で、柊生徒会長が中等部全体の情報操作と誘導……だったか?」
「そうそう。いやはやお懐かしい」
「そうだな。あれから早二年……や、もう三年も経つのか。早いもんだ」
「――ズルい! 私も誘ってよ!!」
二人のその……私の存じ得ぬ思い出に感傷する姿につい叫んでしまう。でもしょうがない。言葉通りで羨ましいんだもの。大変だったと言いつつも、その大変だったという過去を懐かしむ。その時点で悪くない思い出というわけだもの。
「なら快く私に協力してくれたまえ。さすれば君が羨むものがきっと手に入るぞ?」
「Mais oui」
「何故にフランス語??」
学生時代の思い出は多いに越した事はありません。そう言う訳で私は柊生徒会長の拒否権がない命令を二つ返事で承諾した。
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