正月の朝にて

 年が明けて少ししたら、七海と京の二人ともぐっすりと寝てしまった。それも、二人ともソファーの上でだ。おかげで年明けから二人をベットまで運ぶ重労働をするはめになった。二人を運んだ後、俺も特にすることも無かったのでそのまま自分の部屋に行って眠りについた。


「おはよー!起きてー!」


 俺が目を覚ましたのは、朝の割と早い時間。七海の声と体に加わる衝撃によって起こされた。目を開けると、そこには見慣れたエプロン姿の七海がいた。それもなぜか馬乗りで。


「おはよ、七海」

「うん。おはよ!」


 彼女は昨日あれからぐっすり寝れたのか、すごくニコニコとして、体も左右に揺れている。


「あのー、七海さん」

「なんだい、あきとさん」

「そろそろ、降りてもらえないでしょうか」

「なんで?」

「いや、少しおも…」

「うんうん。確かに新婚さんみたいだね」


 食い気味に彼女は答える。新婚さんみたいだなんて誰も言ってないのだが。


「まぁ、冗談はこれぐらいにして。早く起きないと、朝ごはん冷めちゃうよ。今日は初詣にも行くんだから」

「うん。分かったから、一回降りよっか」

「もー、仕方ないな」


 そう言って彼女はしぶしぶ俺の上から降りる。俺は身を起してベットから出ると、彼女はすかさず俺の腕に抱き着いてくる。


「では、れっつごー!」


 そのままリビングに連行される。机には朝ごはんと、すでに椅子に座っている京がいた。


「おはよー、おにぃ…」


 まだ眠いのか、半目になりながらうとうとしている。


「おはよう、京。眠そうだね」

「うん…眠い」

「まぁまぁ、食べれば目が覚めるよ!」


 エプロンを脱いで七海も席につく。


「じゃあ、食べよ!」


 朝ごはんは正月らしく、前もって買ってあったちょっとしたおせちとお雑煮、それに先ほど焼いたであろう餅が並んでいた。



「今日の朝ごはんは豪華だね」

「正月だからねー」


 そのまま食事の挨拶を済ませて、ご飯を食べ始める。

 京は先ほどの眠気が嘘かの様に、沢山あるご飯を美味しそうにつまんでいる。


「今日は何時から初詣行くの?」

「んー、食べて少し休憩してからかな」

「でも着物借りるから少し早く行かないとじゃない?」

「そうなの?」

「そうだった!」


 前に初詣について話していた時、着物をレンタルしようという話になったのだ。その店は七海の家のすぐそばで、なんでも七海のお母さんの友達がやっている店で特別に安くしてくれるらしい。


「じゃあ先に行ってるね!」


 七海はご飯を食べ終わるとすぐに家を出る。俺も付いていこうと言ったのだが、


「後のお楽しみなのです!終わったら連絡するから私の家に来てね!」


そう言って足早に行ってしまった。

 俺は彼女の着物姿を期待しながら携帯片手に彼女の連絡を待った。

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