試験後のご褒美にて
それからと言うものの、俺は机にかじりついていた。幸いにもまだ少し時間があったため、勉強した感じ何とかなりそうだった。
「ふぅ…」
俺は勉強をひと段落終えて、先程通知が来ていた携帯を見た。そこには、
『勉強頑張って!』
とのメッセージとともに、犬が頑張れって応援しているスタンプが送られてきていた。
『ありがとう!冬休みの為に頑張るよ』
俺は七海にそう返すと背筋を伸ばして、
「んぅ~、おっし!もういっちょ頑張りますか!」
再び机に向かった。
――――――――――――――――――――――――
そして試験当日。
俺はテストを必死に解いていた。ちょこちょこ分からない問題があり、鉛筆回しのお世話になったが、勉強をしたおかげもあって何とか合格点は取れそうだ。そして全ての試験が終わり下校の時間になった。
「終わった〜!」
「お疲れ、何とかなったか?」
「まぁ何とか合格点は取れそうだ」
同様に終わった翔太と会話していると、七海が俺の席に近づいてくる。
「あきと!一緒に帰ろ!」
「うん、帰ろうか。じゃあまたな、翔太」
「おう、またな!」
そうして俺たちは帰路につく。
「ねね!今日あきとの家に行っていい?」
「ん?全然いいぞ」
「やった!」
七海は小さくガッツポーズをつくると、嬉しそうにスキップしている。これを見ただけでテスト勉強の疲れが吹き飛ぶようだ。
「ただいま」
「ただいまー!」
「おかえり〜」
家に帰って部屋に向かうと、ちょうど京が休憩中だったらしく俺の部屋の炬燵でみかんを食べていた。もはや炬燵の時期には勝手に俺の部屋に入っているのはいつものことになってきていた。
「こったっつ!」
七海はそう言うとすぐに炬燵に入って行った。それと入れ替わるように先ほどまでコタツムリだった京が、
「よし!休憩終わり!おねぇ、ゆっくりしていってね」
「京ちゃんも勉強頑張ってね!」
そう言って自分の部屋に帰って行った。
しばらく俺も炬燵に入り試験の疲れと外の寒さを癒すようにダラダラとしていると七海が急に炬燵から出て立ち上がった。
「こうじゃなかった!」
「どうしたの?」
「こっちきて!」
そうして七海に腕を引かれて連れていかれたのはベッドだった。七海はそのままベッドに腰を掛けると、自分の膝を叩き、両腕をいっぱいに開いた。
「おいで!」
「え?」
「勉強頑張ったご褒美!ずっとやってあげたかったんだ~」
そう言う彼女はやけにキラキラしていて止められそうにない。俺は恐る恐る七海の隣に座りそのまま膝に向かって倒れた。七海はそのまま膝に倒れた俺の頭にゆっくり手を置いて撫でた。
「よしよし、よく頑張ったね」
そんな甘い彼女の声と膝枕で俺は直ぐに寝てしまった
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