12月の初めにて
11月も足早に過ぎていって一年の最後の月である12月に突入した。12月と言ったら俺たちの付き合った記念日であるクリスマスイブがある月である。付き合って一周年の記念日。果たしてどうやって祝おうか、そんなことを考えながら俺は七海と登校していた。
「ねぇ…、どうしたの?悩みこんで」
「いやね、今日から12月じゃん」
「うん」
「クリスマスがあるわけじゃないですか、どうしよっかなって」
「じゃあさ!前回はパーティーしたからさ、今回は2人でデートしない?」
「デートか、どこに行こうか?」
「んー、王道だと遊園地とか?ショッピングとかはよく行ってるし」
「いいな。遊園地なんて久しぶりだ」
七海と二人で遊園地か、楽しそうだ。
「遊園地なら早めにチケット取らないとね!」
「だな」
―――――――――――――――――――――
俺は教室に着くといつもと周りの様子が違う気がして辺りを見回す。するとなぜか机に向かって教科書を開いている人がちらほらと見られる。
「なぁ翔太、なんでみんな勉強してるんだ?」
「そりゃあお前、もう少しでテストだからだろ」
「テスト…?」
そう、テストだ。きたるクリスマスイブの事を考えすぎて、テストの事を完全に忘れていた。勉強を進めなければ…。七海は大丈夫だろうか。
時は昼休み。俺はいつもの通り七海とご飯を食べていた。
「なぁ、七海はテスト勉強ってもうやってる?」
「うん!今回はね〜、前回みたいに慌てないようにしっかり勉強を進めているのです!」
そう言う彼女は褒めて欲しそうにこちらに近づきながら上目遣いで見てくる。尻尾があればぶんぶんに振っているだろう。そんな勢いだ。俺はそんな様子の彼女をひとまず撫でる。
「あきとは〜?」
彼女は撫でられ、目を細めながらそう尋ねてくる。
「それがな、今日知ったんだ」
「え?」
彼女は細めていた目を開いて、こちらをじっと見てくる。
「えっと…。大丈夫なの?」
「まぁ…多分」
「冬休みに補講とか入らなければいいけど…」
「一応最近は授業の後、復習とかしてるからなんとかなるにはなると思います…」
「へぇ…」
先程の開いた目はジト目に変わり、こちらを訝しげな目で見つめる。
「まぁなんとかなるならいいけど〜」
「うん、頑張ります」
「はい!これで冬休み一緒に遊べなかったら悲しいからね!」
これは頑張らなくてはと、そう俺は意志を固めた。
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