長い一日の終わりにて
私がうどんを作り終えると同時に、リビングのドアが開く音がした。
「あれ?七海?」
「おはよう、明人。お邪魔してます。」
「え?あ、うん。お見舞いに来てくれたんだ」
「体調は大丈夫?」
「明日には学校に行けそうだよ。来てくれてありがとね」
「うん!」
今朝喋った時の様子と比べて、彼はかなり元気な様子で私は内心ホッと安堵した。この様子だと本当に明日は学校へ行けそうだ。良かった。
「うどん作ったんだけど食べれる?」
「うん。ありがとう。食べられるよ」
「一応、食べられなかった時用にヨーグルトとか買ってきたから気にせずに言ってね!」
私は久しぶりに会った明人と会話出来て少しテンションが上がってしまう。そのテンションを冷ますために私はそう言うと、うどんの準備をする。
「はい、どうぞ!」
「いただきます」
席についた明人の前にできた料理を出す。美味しく出来てるといいなぁ。
「うん。生姜も利いていてすごく美味しい」
「デザートもあるから余裕あったら言ってね!」
私はそのまま料理を頬張る明人を対面の席から眺める。明人はまだ寝ぼけているのかこの視線に気づかずに食べ進める。
「ご馳走様。本当に作ってくれてありがとね。助かったよ」
「明人のためならどんな時にでも駆けつけるよ!」
「はは…。無理はしないでね」
「あぅ…。あ!洗い物やっちゃうね!」
明人のお礼に空回りしてしまいそれを誤魔化すために食器を台所へ運ぶ。すると背後から手が伸びてきて私の頭に置かれる。
「今日は一人にさせてごめんね。今はこれぐらいしかできないけど…」
「全然大丈夫だったよ!よゆうです!」
「そっかそれは心強いな」
そう言った明人は優しい手つきで撫でてくれる。これが今日頑張ったご褒美に思えて私はめいっぱい堪能する。
「お二人さん、私もいるんだけどな~」
「ひゃぁ!」
「ーーッ!」
図らずも二人の世界を作っていたところにジト目をした京ちゃんが声をかけてくる。それに私たちは二人して驚いてしまった。
「まったく…。いちゃつくなら本調子になってからにしなよー」
「「はい…」」
洗い物を終え、ひと段落つく。私はそのまま少し休憩すると席を立ち、帰る準備をする。
「じゃあ私は帰るね」
「送っていくよ」
「ううん、大丈夫だよ。それに風邪悪化させちゃうとまずいしね」
「そっか…。じゃあまた明日」
「うん!また明日ね!」
こうして、私の長い長い一日が終わった。
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