お見舞いにて
「それで今日はお見舞いに行くのですか?」
「うん。帰りにスーパーに寄ってから行くつもりだよ」
私は昼休みに円香ちゃんと中庭で昼食を食べながらそんな話をしていた。
「なるほど、何か作ったりするのですか?」
「んー?調子悪くても食べられるお粥とかうどんとか作ろうって思ってる。後は、もし食べられない状態でも後で何かお腹に入れられるものでも買おうかなーって感じかな」
「じゃあ今日は学校が終わったら直ぐに向かうのですね。気を付けて行ってくださいね」
「うん!」
そう言った円香ちゃんは私の話す様子を見て、少し安心した様で優しい笑顔を浮かべていた。
「ご馳走様でした」
「ご馳走様でした!」
私たちがご飯を食べ終えると同時に予鈴がなり私たちはそのまま解散し、それぞれの教室に戻った。それからは、特筆するような事は起こらず、私は少し寂しくなった授業をスーパーで買うものを考えながら過ごした。
キーンコーンカーンコーン
ホームルームが終わり、放課後を知らせるチャイムが学校全体に鳴り響く。チャイムが鳴ると私は部活に向かう人を尻目にスーパーに向かって歩き出す。
スーパーに着くと料理に使う予定のうどんや卵、生姜、ネギなどに加えてヨーグルトやゼリーなどの軽いものを色々買う。何か食べられるといいな。そのまま、明人の家に向かい足を進める。
ピンポーン
私は明人の家に着くとインターフォンを鳴らす。しばらく待って、玄関のドアが開くとそこにいたのは明人ではなく京ちゃんだった。
「しー…」
京ちゃんは口に人差し指をあてて静かにするように私に促す。きっと今、明人は寝ているのだろう。私はできるだけ音をたてないようにに明人の家に入り、リビングへと向かった。
「ふぅ…」
私は買ったものをひとまず慣れた手つきで冷蔵庫に入れる。
「それってお見舞いの?」
「うん。今、明人が何を食べられるか分からなかったから、ひとまず色々買ってきちゃった」
「おにぃもずっとベッドで過ごしてお昼ご飯も食べてないっぽいよ」
「食欲とかあればいいんだけど」
「さっき起きてる時に話した感じ食欲ありそうだったよー。今は大事を取って寝てるだけだからすぐに起きると思うよ」
「それなら良かった。じゃあ作り始めちゃうね」
そうして私は台所に立ち、エプロンを着けてご飯を作り始めた。
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