ハロウィンパーティの準備にて

 そして、その日の夜。

 俺は夕飯の後、風呂から上がると七海と一緒に俺の部屋にいた。2人の手には先程買った衣装があった。


「お互いに着替えてみよ!」

「だな」

「じゃあまた後で!」


 そう言って七海は急ぎ足で部屋から出ていく。

 さて、俺も着替えるとしよう。俺の衣装は吸血鬼で、上は赤い昔の西洋の貴族のような格好で、下はそれにあったシンプルなデザインの黒いズボン、最後にマントを羽織るだけの簡単なものだ。俺はすぐ着替え終わり、七海を待つこと暫し。ドアが叩かれた。


「あきとー、着替え終わった?」

「おう。入って大丈夫だぞ」

「はーい」


 そう言って入ってきた彼女は買った通り、魔女の格好であった。それは肩が透けていて、少しセクシーな雰囲気のある衣装で、更に、上に俺と同じようにマントが羽織られていて、その部分が少し隠れていた。


「わぁ、あきとなんか新鮮!かっこいいね!」

「ありがとう」

「私はどうかな?」


 彼女は無邪気な笑顔で、俺の衣装への感想を言うと、七海は俺の前でくるっと1回転をして、可愛くポーズをとる。


「すごく可愛いよ」

「うん!ありがと!明日はこれに加えてメイクも沢山しちゃうんだから」

「お、それはいいな。ハロウィン風なやつだね。楽しみにしてるよ」

「うん!あきとにもやってあげるよ!」

「え?俺も?」

「うん!あきとにもしてあげる!お揃いのメイクして行こ!」

「メイクか…」

「いや?」

「いやというかやったことないからな。少し不安が…」

「大丈夫!今は男性もメイクしている時代だよ」

「まぁ、ハロウィンだしいいか」

「ん!決定!」


 ひと通り、お互いがお互いの衣装を堪能した後、俺たちは一緒に眠りについた。今から1週間後が楽しみだ。

 そしてきたる日、ハロウィンの日の朝になった。


「おはよ!朝だよ!」


 そう言って、七海が俺の布団を揺らす。


「んぅ」

「ほら、早く起きて!メイクは時間がかかるんだから」


 俺は眠い目を擦りながら体を起こす。


「…おはよ」

「うん。おはよ!」


 俺は顔を洗い目を覚ますとみんなで朝食をとる。朝食後に俺の部屋に集まり、お互い衣装に着替えた後、七海は持ってきたメイク道具の入ったバックを開く。


「よし!メイク始めるよ!」

「はい、よろしくお願いします」

「じゃあまずはこれから!」


 そうして俺たちはメイクを終わらせ、約束の先輩の家に向かうのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る