クレープ屋さんにて

 文化祭が終わって、文化祭の後の掃除をするために俺たちは学校に来ていた。


「なんか直ぐに文化祭終わっちゃったねー」

「なんかイベントが終わった後って寂しくなるよな」

「ねー」

「掃除終わったら暇だし、今日この後どっか行く?」


 そう。今日は文化祭の後の掃除の日なので午前中で学校は終わり、後の時間は暇なのだ。七海は掃除の手を止めて笑顔でこちらに振り向く。


「行く!」

「じゃあどこ行く?どこか行きたいとこある?」

「えっとねー」


少し考える様子を見せると、ふと閃いたように顔をあげる。


「クレープ屋さん!ずっと行ってみたかったけど行ったことないんだよね」

「クレープっていったら駅の方だね」

「うん!その後色々見て回ろ?」

「そうだね。じゃあ残りの掃除頑張ろっか」


そうして俺たちは掃除に戻る。

 掃除が終わり、時は放課後。俺たちは七海の要望で制服のままクレープ屋に来ていた。七海いわく、制服デートだそうだ。


「ねぇねぇなに食べる?」

「んー、色々あって迷うけど。やっぱり迷った時のイチゴかな」

「いいねぇ。じゃあ私はチョコバナナのクレープにする!」

「注文しに行こっか」

「うん!」


 そのまま注文を済ませて、俺たちはそれぞれのクレープを持って席に座る。


「わあ、ここのクレープすごい美味しい」

「だね。すごく美味い」

「ねぇ、イチゴ一口ちょうだい!」

「いいぞ。ほら、あーん」


 そう言って、七海の口にクレープをもっていくと、そのままなんの躊躇いもなく食いついた。


「んー!美味しい!」


 美味しくて堪らないというそんな様子の彼女の右頬にはクリームがついていた。


「七海、頬っぺたにクリームついてるよ」

「ほんと?とって~」


 そう言う彼女の頬を拭ってあげると、彼女は満足そうに笑う。


「えへへ…。ありがと!」

「どういたしまして」

「チョコバナナもひと口食べる?」

「じゃあ貰おうかな」

「ありがと」

「はい、あーん」


 七海も当然のように口にもってきてくれる。そんな些細なことが嬉しかったりする。


「うん。美味しい」

「でしょー?」


 そうして、俺たちはクレープを食べ終わりクレープ屋を後にするのだった。


「また来ような」

「ねー!また行こ!」


 クレープを食べ終わり、駅のショッピングモールでぶらついていると、そこには雑貨屋があった。


「お、こんな所に雑貨屋できたんだ」

「本当だねー。入ってみよっか」


 そうして雑貨屋に入ると、結構大きな雑貨屋で色んな実用的なものから可愛いマスコット系のものまで商品が多様だった。色々見て回っていると、七海が袖を引っ張って小声で喋りかけてくる。


「ねぇ、あそこにいるのって…」

「ん?」


 指差す方向に目を向けてみると、そこには棚に飾ってある可愛いぬいぐるみを見ている鶴見先輩がいた。

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