夏休み明け、文化祭の話にて

 夏休みが明け、またいつもの学校に通う日常にすっかり戻っていた。俺たちも例に漏れず、学校へ来ているのだった。


「もう夏休みも終わっちゃったなー」

「そうだなぁ…」

「早く冬休みにならないかな〜」

「まだ結構先ですね」


 時は昼休み。この4人で集まるようになってから俺たちはよく昼ご飯を4人で食べるようになっていた。青葉さんが別のクラスなので毎日一緒に食べれないのだが。


「でも、あれか」

「ん?」

「もうそろそろ文化祭か」

「確かにそうだな。そろそろクラスで出し物決めるんじゃないか?」

「確かに、なんかやりたいのあるのか?」

「んー、なんだろうな。普通に飲食店系とかやりたいな」


 そんな話をしながら俺たちはご飯を食べ進めた。

 その後、放課後になって俺と七海は一緒に帰っていた。


「七海はなんかやりたい出し物あるか?」

「んー?文化祭?」

「そうそう。昼休み話してたやつ」

「明人と一緒なら割となんでもいいかな」

「できれば一緒にいたいね」

「だって、飲食店やるんだったら接客しないといけないじゃん。笑顔で接客できる自信ないよ…」

「知らない人も多いしね」

「知ってる人でも仲良くないと厳しい…。明人がいてくれれば大丈夫なんだけど」

「あはは…」


 そんなネガティブな様子の七海に苦笑いしつつも俺は少し嬉しくなっていた。


「逆に明人は何かやりたいのないの?」

「なんだろうな、確かに翔太の言う通り飲食店はありだよね」

「カフェみたいなのもいいね」


 こんな話をしながら家に帰り、次の日。

 学校の朝のHRで担任の先生が話し出す。


「そろそろみんなが待ちに待った文化祭ですけど、何をやるかを決める前に文化祭実行委員2人を決めなきゃいけません。なので今日の放課後のHRで決めるのでそれまでに各自話し合っておいてください」


そう言い終えるとそのまま、朝のHRが終わる。


「明人、実行委員やったりしないか?」


翔太が冗談ぽくニヤニヤしながら聞いてくる。


「やらないよ。七海と一緒にいたいし」

「だねー。明人は私と一緒にいてもらわないと」

「なら、なおさら二人でやったらいいんじゃないか?」

「んー、今のところはなしかな。誰もやらないって言うなら話は変わってくるけど」

「だねー」

「まぁ、誰かやってくれると信じよう」


と、特に俺たちの間では何も決まらず、放課後のHRになった。


「はーい。朝に話した通り、文化祭の実行委員を決めたいと思います。誰かやりたい人いますか?」


 先生がそう聞いても、一向にみんなの手が上がらない。そのまま静かな時間が流れる。


「誰か推薦でもいいですよ」

「じゃあ、はい。明人と片瀬さんを推薦します」


翔太が手を上げてそう言う。


「「え?」」

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