夏休みの終わりにて

 日も落ち、宿題もひと段落してきた頃。

 俺は夏休みの宿題を全て終えて、七海もあと少しの所まできていた。


「よし!今日はお終い!残りは明日やる!」

「じゃあ、もうぼちぼち遅いし送っていくよ」

「…?きょうも泊まるよ?」

「だから大きい荷物だったのか」

「うん!」


 満面の笑みで彼女はそういった。

 その後、休憩がてらテレビを見て一緒に過ごしていた。


ガチャ


 そうして過ごしていると、玄関が開いた音がした。


「ただいま〜」

「おかえり〜」

「おかえり」


 リビングのドアが開き、京が帰ってきた。


「つっかれた〜」


 京は帰ってくるなり、荷物を放って俺たちがいるソファに倒れ込んだ。俺はその様子が七海が俺の部屋に来た時と重なって少し微笑ましく感じてつい、


「おつかれ。頑張ってるな」

「ふぇ?」


七海にする様に頭を撫でてしまった。


「お、お、おにぃ?」

「むぅ…」


 京はソファから跳ね上がって頭を両手で抑えて、七海はちょっと不機嫌そうに頬を膨らませて唇を尖らせている。


「あ、ごめん。つい」

「別に全然大丈夫だけど…。ちょっと部屋に荷物置いてくる!」


 そう言って京は急いだ感じで自分の部屋に走っていった。


「少し、悪いことしたかな…」

「むぅ!」

「七海はどうしたんだ?ハリセンボンみたいになってるぞ」


 そう言って七海の頬をつつくと、プシューと頬が萎んでいく。


「京ちゃん、ずるい!」

「ずるいって…」

「わたしにもなでなでを要求します!」


 座っている俺のお腹にグリグリと頭を押し付けてくる。


「はいはい、仰せのままに」


 そう言って俺はご飯の時間になるまで七海の頭を撫で続けた。ご飯を食べ終えて、自分の部屋に戻ってダラダラしてると、部屋のドアが叩かれた。俺は開けると、


「えへへ…。また来ちゃった」


 前回のお泊まりで味を占めたのか七海が立っていた。俺は最初こそ驚いたが部屋に通すと、前回と同じように俺たちはまた夜を共にするのだった。

 次の日も、俺たちは起きるのが早かった。昼ご飯を食べる頃には残りの宿題も、殆ど終わって七海の宿題はあとは読書感想文を残すだけとなっていた。


「じゃあそろそろわたし帰るねー!」

「えー!もうちょっといたらいいのに、勉強もまだ教えてほしいし…」

「ごめんね。私もまだ居たいんだけど、この後用事があって」

「それは仕方ないね…。また来てね」

「うん!」


 七海はこの後、なんでも家族と買い物に行く用事があるらしい。その時に、読書感想文の本を買うらしい。


「じゃあ、またね!お邪魔しました」

「またねー」

「途中まで送ってくよ」

「ありがと!」


 そうして、俺たちの宿題お泊まり会は幕を閉じるのだった。

 新学期はもうすぐそこに迫っていた。

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