お泊りにて
ご飯を食べ終わりカフェから出る。
「この後、どうしよっか?」
「カフェの記事見たときに明人と行きたくて誘ったからこの後の予定決めてないんだよねー。取り敢えず、駅でぶらつこ!」
「そうだね」
そうして俺たちは駅前の服屋にはじまり、雑貨屋などを回って過ごした。
色々回っているうちに日は暮れ、今、俺たちは帰路についていた。当初は七海を送って解散しようと思っていたが、どうやら今日はお泊まりしたいらしく、おれの隣にいる。
「そういえば、そろそろ夏祭りだね!」
「あー確かに、来週だったよね?」
「うん!すっごい楽しみ!」
そういう彼女の足取りは無意識なのか少しスキップ気味で、本当に楽しみにしているのが分かる。
「〜♪」
彼女は横で鼻歌を歌いながら繋いでない方の手をブラブラしている。不思議なことに彼女が楽しそうにしているとこちらまで幸せな気持ちになってくる。楽しそうな彼女を見ると自然と笑みが溢れた。
「ん?どうしたの?」
そう言って彼女はこちらを覗き込んでくる。
「いいや、なんでもないよ」
「えー!絶対なんかあったでしょ?」
彼女は少し不満げだが、そんな所もいじらしくてまた笑ってしまう。
「あぁー!また笑ってるー!」
「いやいや、なんでもないって」
そんなやりとりをしながら、家に着く。
「ただいま」
「ただいまー!」
「おかえり〜」
京はもう図書館から帰ってきており、リビングで勉強していた。曰く、自分の部屋よりもリビングの方が集中できるそう。
「何処行ってきたの?」
「駅前のカフェに行って、その後は駅をブラブラしてたよ」
「駅前のカフェってあそこ?カップルの…」
「そうだよ。私が気になって明人を誘ったんだー」
「それであれ、頼んだの…?」
「うん!」
「うひゃぁ〜。ラブラブですな」
「えへへ」
「…んで、どうだったの?」
「えっとね、えっとね…」
そう彼女たちが仲良く会話しているのを尻目に、俺は晩御飯を作っていた。
晩御飯や、お風呂などをいつも通り終わらし、京と七海は京の部屋に、俺は自分の部屋に向かった。
しかしその日はいつもと違っていた。俺は風呂終えて、いつも通り部屋のベットでゴロゴロ過ごしていた。すると、扉が叩かれ、開けるとそこにはパジャマ姿の七海が枕を両手で抱えて立っていた。
「えっと…。こんばんは?」
「…こんばんは」
「どうかした?」
「えっと…、その…、一緒に寝に来ました…」
「…へ?」
彼女は視線を彷徨わせながらそう言った。
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