夏休みの一幕にて

 夏休みが始まり、俺は充実した毎日を過ごしていた。

 そして今日も俺はベットで惰眠を貪っていた。一つ言っておきたいのは、一度朝に起きて京と朝飯を食べはしたのだ。それまでは良かった。しかし、京が勉強のために図書館へ出かけてしまったため、一人で暇な時間ができてしまったのだ。夏休みの宿題はあり、やらなくてはいけないのだがやる気が起こらずやっていない。やらなくてはならない事はあるのにやる事がなくて暇であるという矛盾を抱えて今、ベットで惰眠を貪っていた次第である。


「はぁ、どうすっかなぁー」


 通常の睡眠に加えて、もう何時間か寝ているため眠気はない。ベットでスマホで動画サイトを何を目的にするでもなく見ている。するとスマホが震え、スマホの画面の上からメッセージが来たことを伝える通知がくる。


『いま、ひまー?今から会わない?』


七海からのメッセージだった。


『いいよ、何処に集合する?』


 俺は素早く返信をすると、先程までの重い体が嘘のようにベットから降りてスマホを傍に、身支度を整える。


『じゃあ、駅前に11時30分に集合で大丈夫?』

『いいよ』

『了解!また後でね』

『うん』


 時計を見ると今が10時30分である事を示していた。今から出ると、駅まで30分もかからないので11時前に着けるだろう。まぁ、ゆっくりしながら向かおう。

 しばらく歩いて、駅に着く。駅にある時計を見ると11時10分だった。すると、不意に視界が暗くなった。


「だーれだ!」

「七海だろ?」

「だいせいかーい!」


 そう言って離した手を背中の後ろに組み微笑んでいるのは、他でもない彼女だった。彼女は夏らしいオフショルダーにデニムを合わせた格好だった。


「おはよ。洋服似合ってるよ」

「おはよ!ありがと!これは円香ちゃんと一緒に買い物に行った時に買ったやつなんだ〜」


 七海と青葉さんは夏休みも始まったばかりであるのにもう一緒に出かけているらしい。


「何処に行こうか?」

「むふ〜。もう決まっているのです」

「そうなのか?」

「あきとはまだお昼食べてないよね?」

「そうだね」

「じゃあ、こっち〜!」


 そう言って彼女は俺の手を引き、目的地に向かって歩き出した。彼女は2、3歩進んだ後、ふと振り向き俺の耳元に顔を近づける。


「明人もカッコいいよ。似合ってる」

「…っ!」

「にししっ」


 俺は突然のことに、照れた顔をもう片方の手で隠してしまった。それを見て彼女はしてやったりの顔を見せると、そのまま前を向いて歩き出した。

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