休日にて

 次の日の日曜日の朝。

 俺たちはソファに座りながらテレビを見て、ダラダラと過ごしていた。


「あきとさんや」

「なんだい、ななみさんや」

「休日なのにこんなにダラダラとしてていいんですかね?」

「まぁたまにはいいんじゃないか。連日、ちょっとバタバタしてたし」

「じゃあ、いいかぁ」


 そう言って七海は俺に頭を預けてくる。


「ねぇ、私もいるの忘れないでね」


 そう言って、京がこちらにジト目を向けてくる。


「忘れてなんてないよ!こっちおいで!」


 そう言って七海はおいでと言いつつも、立ち上がって京を抱きしめると、そのままソファに座り直した。


 今、俺の隣に七海が座っていて、その足の間に京がいる状態である。そんな妹は俺を見て、


「ムフー」


ドヤ顔をしてくる。

京は少しの間その状態を堪能した後、立ち上がる。


「今日ずっと家でダラダラするなら、せっかくだし一緒に映画見ようよ」

「お、いいねぇ〜」

「映画、借りに行くか?」

「うん!みんなで行って選ぼ!」

「了解」


 俺たちは準備をして、レンタルショップに向かって歩き始めた。七海は相変わらず俺の腕に引っ付いている。


「いや、でも学校でイチャつくようにしたおかげで近くのお店にも一緒に行けるようになって嬉しい!」

「あー、確かにそうだな。これからは沢山行けるな」

「うん!」

「おにぃ達はずっと周りに気をつかってたからねぇ」


 確かにこうやって何も考えずに出かけられるのはいいな。気をつかわなくていいし、何より楽しめる。

 そうこうしている間に、レンタルショップに着いた。


「何借りる?」

「んー。七海は何が見たい?」

「じゃあ、ホラー!」

「七海ホラー苦手じゃん、大丈夫か?」


 そう、七海はホラーが苦手なのだ。前に行ったテーマパークのお化け屋敷でも怖くて、出た後は数十分間ベンチで俺に抱きついていたほどだ。


「なんか今日はいける気がする!」

「本当に大丈夫か?」

「うん!」

「京もこれでいい?」

「おねぇがいいならいいよー」


 一抹の不安を残しながら俺たちは優しめのホラー映画を借り、そのままお昼ご飯を食べに行った後、映画のお供となるお菓子とを買って家に帰った。


「じゃあ、見よっか」


 そう言って、映画を再生する。

 七海は映画を観て、


「ぴゃ!」

「きゃぁ!」


否、もはや観てもいない。今は俺の膝の上に乗って、テレビに背を向けている。七海は何が大きな音が出るたびに驚くと、抱きつく力を強めた。

 結局、七海は映画が終わった後もずっと離れずべったりとくっついているのだった。

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