記憶喪失
気付けば僕は寝転がっていた。
ハッとして周りを見渡せば壮大な草原が広がっていたが、それ以外何も無かった。
木がひとつもなければ、花一輪も咲いていないそんな場所だった。
ずっと歩き続ければきっと何かがあるかもしれない、そう思ったがなんだか僕はここにいなければいけないと感じた。
僕はゴロンと草原に寝転がった。
***
空を眺め続けて何度も太陽が沈み、月は昇った。
もう月が昇った数を数え続けて100は経っただろう。
肌を擽る心地よい風が気持ちいい時もあれば、冷たく無情に雨が降る時もあった。
ぼくのからだは不思議なことに食べ物や水を欲することもなければ、睡眠を取ることもなかった。
ただただ、コロコロ変わる空を眺め続けていた。
***
あれからまた空はたくさんの姿へと変えた。
太陽が昇ったところを目視できた数が10を超えた。
稲妻が走る時もあれば、純白な雪が蒼い地を覆う時もあった。
それから太陽が50回ほど昇った時、星が降ってきた。
星が落ちる度に地面が揺れ、この蒼い土地に穴が開き、お世辞にも綺麗とは言えないほど無惨な姿になっていた。
数多の星が隕石のように降り注いでいる中、一つの大きな星が僕に向かって落ちてきた。
死が迫っているにも関わらず僕は焦らなかった。何故か僕はその場に立っており、上に向かって手を伸ばしていた。
まるでからだが何かを覚えているようだった。
気付けば目の前まで迫ってきていた星が空に帰っている。その他の星も空へと帰っていき、月のクレーターとなっていた地面は跡形もなく以前のような蒼い草原が広がっていた。
純白な雪が積もっていたと思えば稲妻が轟き、冷たい雨が降ったかと思えば心地よい風が肌に触れた。
瞬きをする度に景色はコロコロ変わっていった。
それはコマ送りのような速さで時が巻き戻されているようだった。
瞬きをする度に月が沈み日は昇った。
何度太陽が昇ったか分からなくなった時、突然瞼が重たくなった。
空に向かって挙げていた腕は力が入らなくなり僕は倒れ込むように地面に転がった。
あくびが出て、目が開かなくなった。
僕は初めて眠りについた。
***
気付けば僕は寝転がっていた。
ハッとして周りを見渡せば壮大な草原が広がっていたが、それ以外何も無かった。
木がひとつもなければ、花一輪も咲いていないそんな場所だった。
ずっと歩き続ければきっと何かがあるかもしれない、そう思ったがなんだか僕はここにいなければいけないと感じた。
僕はゴロンと草原に寝転がった。
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