第3話 やりたいことを詰め込んだ結果完成した物


『Dungeon World Online』(略称DWO)は、ジャンルとしては探索型フルダイブVRMMOとされている。


大まかなゲーム内容は、光と闇の女神が管理するダンジョンをプレイヤーは探索しながら攻略するといった王道的なもの。

ダンジョンは攻略難易度毎に一つの世界として成り立っており、スポーン地点、構造、時間帯や気候は毎回変化する。

プレイヤーはそんな過酷な世界をソロ或いは仲間たちと攻略しながら、スローライフも楽しもうというものだ。


謳い文句は“ゲームの全てがここにある”


公開された情報やテストプレイの様子からも探索以外の要素はかなり多く紹介されていて、それに偽りはないと評価されていた。

一通りのチュートリアルが終わるのに、一般プレイヤーだと一月はかかるんじゃないかと言われる程だった。




しかしそれだけでは今までのVRMMOと全く違うとは言えない。

確かにコンテンツ量は多いがそこにある内容はゲーム的に目新しくはないからだ。


DWOと他VRMMOとの違い、それは制限の緩和とAIによるシステム運用の導入だ。


制限の緩和について。

通常VRを利用するには様々な制限がある。

主に長時間のプレイなどの利用者を害する可能性がある行動にかけられ、フルダイブMMOなどではそれが特に強くなっている。

にも関わらずDWOはそれが驚くほど軽い。

プレイ時間で制限をかけることはなく年齢制限もない。

制限されているのは極度のハラスメント行為や無意味な残虐演出などである。


次にAIによるシステム運用について。

技術向上によってAIが進化したと言ってもその運用は補助が主である。

しかしDWOでは、ゲーム内でのシステム運用や調整、イベント企画などの主要部分を管理AIが担当している。

最終決定権は開発側にあるが余程のことがない限りAIに任せている。


しかし通常であればそんなものは許可が下りず発売することなど出来ない。

制限は利用者を守るためにあるものだし、AIによる運用も重大な不具合を起こす可能性があるからだ。

にもかかわらずDWOは既に発売が決まっている。

これはDWOの企画・開発・運用などの全てを超巨大企業星見が行っていて、起こりうる全ての問題について全力で対応すると宣言したからだ。

当然界隈からはそれでも問題だと指摘されているが、DWO側ひいては星見は問題はないとしている。




ともあれDWOは様々な業界から今一番注目されているフルダイブVRMMOである。

プレイ時間制限無しを聞きつけたMMOを主戦場としている猛者達

管理AIの隙を付きたいデバッカーを名乗るバグ利用者

現実では出来ない技を試したい格闘技集団

などの濃い集団から、

新作ゲームを友人と楽しみたい

もふもふの動物と触れ合いたい

などのライト層まで幅広く期待されている。



そんな数多の人が待ち望む中、ついにDWOのサービスが開始された。


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