第14話 月光が照らす公園 後編
「ぐほっ、げほっ」
激しくせき込む僕の背に、ミドリコがつぶやく。
「呼吸器系に異常が見受けられます、このままではあなたは健康を
そう言いながら、意外にも僕の背中をさすってくれた。
「……あ、ありがとう、ゲホッ」
「もちろん皮肉で申し上げているのですよ。
あの程度は
「ゲホッ!」
こいつは……本当に……。
「製作者の趣味です。
わたくしはいついかなる時も口汚く
人間に親切にする時などはその
ボディタッチによるヒーリング効果と
複雑怪奇にする必要がどこにあんだよ!
僕が責められながら
「本当にもう(スーハー)どうしてこんなことに(スーハー)なっちゃったのかしら。ただでさえ騒々しいのが二人になっちゃって(スーハー)マジで困っちゃう」
口では文句ばかり言っているが、吸血鬼は幸せそうに吸っている。
趣味を
「りりあちゃん、あたしのこと――じゃあまぎらわしいか。ひなのこと、好き?」
「は? そりゃまあ……好きだけど?」
葵さんはニコリと笑い、ひなちゃんと高遠さんを抱きしめた。
「あたしにまかせてね。あんなことぜったいにもうないから」
「はあ?」
葵さんが何を言いたいのかわからないけれど、その言葉には
あっちの世界での彼女の生活は、いったいどんな事になっているのだろう。
なんだかずいぶん
それから小一時間ほど、僕たちは月光の照らす公園で時を過ごした。
といっても大したことはしていない。
二人の日向葵が姉妹のようにじゃれあって、その横で僕がミドリコと高遠さんに言葉責めプレイされただけだ。
別れ
葵さんが日向家のお父さんお母さんには会おうとしなかったことだ。
「べつにいつでも会えるし、こんどでいいよ」
と本人は言う。
ご両親にはいつでも会えるといって執着心を見せない。
高遠りりあさんには嬉しそうに抱きついた。
そして僕には、泣きながら再会を喜び、抱きついてきた。
……なんだか嫌な想像をしてしまった。
ひょっとして僕、大学を卒業するかしないかくらいの歳で『死ぬ』ってことなんじゃないのか?
あっちの世界とやらでどういう奇跡をおこしたのかわからないが、僕はひなちゃんと恋愛関係になれた。
そして原因は不明だけど僕はひなちゃんを残して死ぬのではないか。
ひなちゃんは僕が死んでも忘れずにいてくれて、今回謎のSF技術を使って会いに来てくれた。
それが今から四年以内にすべて起こる。
いったい向こうの世界で何があった?
そしてこっちの世界で何が起こる?
今すぐ知りたかったけれど、明日の朝までは
ひなちゃんたちと別れてから葵さんはずっと僕の左腕に抱き着いている。
こんなにすぐそばにいるのに、妙に遠く離れているような気分。
胸の中がモヤモヤする。
僕ってこんなに
早く知りたい、もっと彼女のことを知りたい。
ほんの数時間前までは
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