第4話
え…?
捨てられた…?
なんで慰めの言葉を受けて怒ったんだろう?
そもそも捨てられたことと遅刻してしまい、出鼻をくじいて教室に居づらいことと何が関係あるんだろう?
色々な疑問が頭に一気に殺到して、何が何だか分からないでいると、岡本くんは再び口を開いた。
「…あれは幼稚園に入ったばかりの頃だった。
両親は俺を雨の中車で山の奥に連れて行った。俺は何でこんな雨の中ドライブなんてするんだろうなんて思っていたけれど、それはドライブなんかじゃなかった。
山の奥に着くと、両親は俺を車からおろして、
『もうお前なんかと親子じゃない』
『生んだことを後悔してたのよ』
などと口々に愚痴を言いながら去っていった。
俺は何が起こったのかわからなかった。
今までもそれほど愛されているとは思っていなかったが、ここまでとは思っても
いなかった。
だから泣くこともできずに、ただ雨の中で立っていた。
どのくらい時間が立ったのかわからなかった。
突然、雨が体に当たらなくなった。
恐る恐る上を見てみるとおばあさんがいて俺を傘に入れてくれていた。そのおばあさんは黙って『おいで』とでも言うように俺を促して家まで連れて行ってくれた。
おばあさんは俺に何も聞かなかった。
ただにこにこ笑って『今日からここが君の家だよ』って言ってくれた。
多分状況を分かっていたんだと思う。
それから俺はとても幸せな生活を送っていた。
でもそんな幸せな生活は長くは続かなかった。俺が小学生になるときにそのおばあさんは亡くなった。
俺はそれからおばあさんの親戚に引き取られた。でもその人はとても無愛想で会話もほとんどなかったそれで、俺が中学に上がるときに俺は家を出て今は一人暮らしなんだ。こんな生活で生きている価値も見いだせなくて…」
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