第3話
静かさが気持ちいい。
私は今学校の図書室にいる。
中学に入学して2週間が経っている。学校生活には慣れてきた。この2週間、昼休みは毎日のように図書室にこもっている。
別に友達できないから行ってるわけじゃなくて、ある程度友達はいると思う。挨拶してくれたり、移動に誘ってくれる友達もいる。でもその子達はおしゃれで、いつも雑誌読んだりしていて、私はそういう輪には入れないから、昼休みは一人で図書室に行って本を読む。
読む本を探していると、見覚えのある人影を見つけた。
岡本くんだ。本好きなのかな。
そんなことを考えていると、彼の方からこちらに気づいて会釈してくれた。
あれ、あの人そんなキャラだったっけ?ちょっと私に心開いてくれたのかな、なんて都合の良いことを考えながら私は会釈を返して近づいていく。
「岡本くんも本とか読むんだね。結構意外かも」そう言うと、岡本くんは少し哀しそうな表情になった。
「別に好きってわけじゃないんだ。ただ…ね」
岡本くんはうつむいた。
彼が図書室に来ていることには少し心当たりがあった。でも…口に出して良いのかなこんなこと…。でも何か力になれるかもしれないから言ってみようかな。
「もしかして…教室に居づらいから…とか?」
うつむいた岡本くんのあごがかすかに引かれた。多分教室に居づらいのは、初日の遅刻が原因だろう。
こういうときって何て言えばいいんだろう…。
でも…。
「別に気にしなくていいと思うよ」
別に悪気のない言葉のつもりだった。しかし彼には悪い意味に取られてしまったらしい。色白の肌が紅潮していく。
なんか変なこと言った…?
「君に何が分かるっていうんだ!」
え…?
私が言葉を失っていると、
「ごめん…」
と、とても小さい声が返ってきた。数十秒の沈黙の後、岡本くんは口を開いた。
「俺…両親に捨てられたんだ」
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