第24話 会談

勇者シンの住む王国


此処では増税や勇者への不満などで日夜市民達がデモを起こしている


今は王国兵達に鎮圧させているが、それも時間の問題だ、その為一刻も早く魔王を倒さなければならないが、勇者シンは己の使命よりも欲望に動いている為、国王も頭を悩ませている


諸外国も勇者の粗暴さに文句の手紙が絶えない、しかし勇者と言う人間達の希望の存在が住む王都に攻め込むわけにはいかず、外交や国際会議などでの話し合いの時のみ、直接に勇者について話している


そして今、勇者が住む国の王が、書類を書きながら先日の件の事を話し始めた


国王「それで、その指名手配した男は見つかったのか?」


それは勇者シンがその男に攫われたと言う女性3人を探す為に今無実の罪の男を犯罪者として同盟国、友好国にも話し、指名手配した者だ


執事「わかりません、私達の情報ではまだ捕まっていないと思います。」


一応勇者と比較的友好的だった王国兵を何人か護衛として連れて行き、見つけ次第連絡する事になっている


しかしこの数日間なんの連絡もないのだ


国王(もうすでに見つけて、それに夢中の可能性もあるが、一言見つかったぐらいは言えないのか?)


呆れてため息を溢している中、だだだだだだ

と執務室まで誰かが走ってくる音が聞こえる


ドカッと一言もないままそのまま入ってくる王国兵


執事「此処は執務室ですよ?ノックくらいしたらどうですか?」


執事が注意をするが、聞いていないのか、無視をしてこちらに顔を向け、話始める


王国兵「大変です!勇者が........勇者が.........」


勇者様と言うようにと命令していたが、どうやらそれすらも忘れてしまうほどの緊急事態らしい


国王「勇者が........どうしたのだ?」


国王もここまで切羽詰まる兵士の姿を見て只事ではないと、察して要件を聞く

そして次の言葉に衝撃を受ける


王国兵「魔王を.........連れてきました!!」


国王「...................へ?」


あまりにも突拍子もない事を言われて国王は変な声を出してしまう


執事「そんな事はあり得ません、魔王がわざわざ敵本陣であるここに来ることも、勇者が倒さずノコノコここまで来ることも」


確かに冷静に考えればこんな事はありえない、そもそも魔王が何故ここに来るのか理由がわからないし、それに何故勇者が魔王と共にいるのかもわからない


しかし、ならこの兵士の慌てようはなんなのだ、となる。


ここまで無礼な働きをしてしまう程の緊急事態だと言う事だ、例え魔王でなくても、魔族の可能性はある


国王「とにかく、勇者が誰を連れてきたかにせよ、勇者が来たのなら私の所へ通せ」


王国兵「は!」


そう言うと王国兵はドアをバンっと開け駆け足で去って行った


国王「魔王を..................か」


執事「信じているのですか?」


執事が国王の隣に行き、問いかける


国王「ああ、魔王でないにしろ、あそこまで慌てるとなると魔族の可能性が高い、確かめておかないとな」


執事「そうですね」


そうやってしばらく待つとドカッとまた一言も言わないで部屋に入ってくる、しかし今回は


シン「邪魔するぜ、国王」


国王「勇者シン.........それに」


シンの後ろには男1人、女3人、魔族が1人い...........た.........?


執事「魔族!?」


そう魔族がいたのだしかし勇者も含めて他の人達もとても冷静だ


国王「勇者シンよこれはどう言う事だ?まさか謀反を起こしたのか?」


シン「あ?謀反?んなわけねーだろ?ただあんたにようがあったんだよ、俺様とそこにいる魔王は」


執事「魔王等と戯けた事を言わないでください」


シン「あ?」


執事は魔王という言葉を聞いて指摘する


執事「魔王がここに来るはずがありません、そこに居るのは魔族か何かなのでしょう?嘘はやめて早く本題に「おい」は?」


リディア「我が魔王じゃないと、そう言いたいのだな?お主は」


執事「ひぃっ!?」ガク......


圧倒的な圧が執事を襲い、そのまま気絶する


ルーク「リディア様それくらいに、俺達は国王に許可をもらいに来たんですから」


リディア「そうであったな、おい勇者とやら」


シン「な....なんだよ」


リディア「早く話を進めろ、我らは雑談しに来たのではないのだぞ?」


シン「わ.......わかってる!」


話?話とはなんだ?

そう不思議に思った国王だったが、勇者が話した事があまりにも衝撃的すぎて度肝を抜かれた


——————————————————————

国王「つまり、私達人間と貴様ら魔族との戦争を勇者シンとその男の決闘で勝敗を決める.........と?」


シン「ああそうだ」


国王(負けたら領土を奪われ、勝てれば領土が増える、そして........)


負けたら、その代表が死刑となる


国王「成る程、確かにそうすればこれ以上の被害は出ないか.........」


それに代表戦で戦う相手は、魔王ではなくそこの男、見た感じとても弱そうだし

正直に言って鴨がネギを背負ってきた

とはこの事だと思った


国王(魔王はとても愚かな魔族で助かった、これで戦争は我々人間の勝ちだ、それにこれで指名手配の大義名分ができた)


そう代表戦で戦うのは人間のルーク、なのに魔族側で戦うとなれば世間からすれば、指名手配犯の公開処刑


国王「わかった、その話の通りにしよう」


大義名分で殺せるのだ断る理由などない


シン「交渉は決まりだな?」


シンがそう聞くと国王は


国王「ああ、場所はコロシアムで良いな」


と言い、場所を指定した

コロシアム、それは人間対人間、人間対魔物など悪人達を戦わせ、金儲けのために開いている場所だ


シン「ああ良いぜ」


ルーク「俺も大丈夫です」


そこでなら2人の要求も出来るはずだ


リディア「我もだ」


魔王も認めこれで雌雄を決する事ができるようになった、ただ


国王「しかし準備に時間がかかる、しばらく待ってくれ」


そうこれは代表戦だ、この国の人物だけではいかないのだ、その為国王は全世界にこの事を伝える為に急いでいる


シン「はあ、早くしてくれよ?」


国王「わかっておる、それまでの間はしばし休息をとってくれ」


こうして、人間対魔族の戦争は代表戦で決着をつける事になった

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数日後


国王はこれを同盟国、友好国に伝えて、他の国々にも伝えた


勿論全ての国が賛成するわけでもなく、反対する国もあったが、勇者が代表として戦い、魔王は戦わないと聞くと


あっさり手のひら返しで、皆賛成した


そして国王は人間と魔族との決着を人間側の重要人物達を集めて、最後の戦いを見届けるべく、コロシアムの国王達専用の観客席からその姿を眺める


その光景は凄く魔道具の水晶を使いコロシアムにいない者達も見れるようになっていて

まさに全世界生中継となっている


マイ「ルーク.........」


そんな中、コロシアムの中ではルークがマイ達を抱きしめながら話をしていた


ユキ「待ってるから」


シャイン「愛してるよ、ルーク」


ルーク「ああ俺も皆んなの事愛してる」


そう言うとルークはマイ達の唇に自身の唇を合わせる

舌も絡ませて濃厚な口づけをし離れる時に透明な液体が糸を引いていた


マイ「ルーク、この戦いが終わったら、続きをしよ?」


ルーク「......ああ」


ユキ「僕も.......お願い」


シャイン「俺も.....頼む」


そう言うと再び抱きついて来て、ルークは


ルーク「ああ、約束だ」


と約束をし背を向ける

そして、コロシアムの中央へと向かった


——————————————————————


続く

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