第23話 交渉

マイ「ルーク.......貴方......何を言って......」


シャイン「勝てるわけないじゃないか..........」


マイとシャインはルークが(実際にはシンだが)決闘を申し込んだ事に驚いている。


それもそのはず、相手は魔王を倒す為に選ばれた勇者、簡単に言えば人類最強の戦士

普通の人ならばまず勝てない

...........”普通の人”ならば、の話だ


ユキ「......................」


ルーク(.....やっぱり、ユキは気づいたが)


先程は緊急事態だった為ユキは気づいていなかったが、今は冷静な状態になり、ルークの違和感に気づく


ユキ(マイちゃんやシャインはルークの違和感に気づいていない、となると僕が聖女だから気づいているのかな?)


ルークは対勇者用に悪意の宝玉と言われる魔道具を体内に取り込んでいる、その為見た目は何にも変わっていないが、中身、人体的に感じが変わっているのだ


ユキ(禍々しい何かが、ルークの中を駆け巡っている、不気味だけど、何処かシンパシーを感じる)


ユキが言っているのは、今ルークが対峙している男の影響だ


悪意の宝玉は人間や魔族の悪意が集まり力になる物、その為その悪意にはその元凶が必ずある


今、ルークの中に蠢くのは勇者シンによって人生を家族を恋人をはじめてを形はどうであれ勇者によって理不尽にも奪われた者達の怨念や憎しみ、憎悪などがルークの中を通して現れているのだ。


ルーク(...........こんなにも被害者いたなんてな...........屑め............)


そんな風に思いながら、目の前にいるその屑の話を聞く


シン「屑、俺様に決闘を申し込んだ事後悔させてやるよ?謝るなら今のうちだぞ?」


そう言って煽る、しかしルークはそんな事気にせず答える


ルーク「負けた時の言い訳は終わったか?お前如きに謝るくらいなら、死んだ方がマシだ」


その言葉にシンはピキと青筋を立てて答える

ルークによってそれが罠だと知らずに



シン「さっきから黙って聞いていれば.......ッ

...............!?」


何かを叫ぼうとしていたが、目の前の光景に驚き、言葉を失う


マイ「え?」


ユキ「!?」


シャイン「ッ」


マイには分からないと思うが、先程のルークと打って変わってその者は格が違うのだ。


圧倒的な強者の誇る余裕とプレッシャー

これによりシャインとシンは只者ではないと気づき、ユキは


ユキ(この圧倒的な闇の魔力と存在感、ルークの違和感................まさか!?)


ルーク「あら?まだ大丈夫でしたのに、どうしてもう来たんですか?」


???「何、勇者とやらが何処まで強いのか直接見てみたくてな.........所でその勇者は誰だ?そこの女か?」


???は、シンではなく、シャインの方を見る


シャイン「え?」


シャインも驚きだろう、その者は勇者をシンではなく、自分を勇者だと勘違いしているのだ


ルーク「ああ、違いますよ、リディア様、勇者はこっちの男です」


リディア「ああこっちか、なんだ?こんな奴が勇者なのか?」


ユキ「リディア!?」


ルークがその魔族の名前を口にした時にユキは戦慄が走る


ユキ(この闇の魔力とルークの違和感.........これで辻褄が合う!?)


マイ「ユキちゃん、この人が誰だかわかるの?」


シャイン「教えてくれないか?この魔族を」


マイとシャインは、ユキが知っているであろうと思い尋ねる


ユキ「...........魔王リディア、僕達が倒すべき相手だよ」


シン「な!?」


マイ「え!?」


シャイン「は!?」


魔王リディア、その言葉でシン、マイ、シャインは驚愕する

...........たった1人ルークを除いて


ルーク「やっぱりユキは聖女だからわかるんだな」


リディア「なんとこの者が聖女か、だからこんなにも眩しいのか」


ルーク「眩しい?」


リディア「ああ、お主も分かると思うが、その者の周りが光輝いているであろう?」


ルーク「..................確かに、ユキの周りが少しキラキラしている」


今まで気づいていなかったが、ルークはユキの体が少し光って見える事に気づく


リディア「光と相反する闇とそれ故に我は此奴が光って見えるのだ」


ルーク「じゃあ俺は?」


リディア「悪意を取り込んでいるから、善意.....聖女の心がそうやって見えるようにしているのだろうな」


ルーク「...................成る程」


しかし、眩しいとまではいかない、なんか見えるなぁ程度だ善意の.....聖女の心がそこまでないのか?


リディア「しかしお主はそこまで眩しく見えないのだな?」


疑問に思っていた事を口にしてくれたおかげでこちらも聞きやすくなった


ルーク「ええ、なんか纏ってるなぁ程度ですね」


リディア「ふむ、2人とも敵意がないからか?それともそうなりたくないから?我にも分からんな」


そう言って疑問に思っていた事に答える

要するに分からないとのことだ

魔王でも分からないとなればルーク達が分かるはずがない、その為これ以上聞く事は無意味となる


シン「ま...........魔王!」


リディア「ん?」


シンは怯えながら、リディアに話しかける


シン「き........貴様.......お.......俺様と.........そこの女を.........ゆ.......勇者と.......間違えたな!?」


おどおどしながら、なんとか言う


リディア「ああ、お主の様な人間の屑が勇者だとは思わなかったからな」


シン「な.........なんだと!?」


何故こいつが屑だとわかったのだ?

そうルーク達が不思議そうに思っていると


リディア「ふん、気配で分かるわ、その腐った魂、見にくい姿、汚らわしい、これが勇者だとは思わなかったわ」


続けて


リディア「こんな奴なら我が殺して国王を脅しても良いのではないか?その方が話が進みやすい」


と言った、勇者と戦えば国全体の戦争になり、人間もそうだが、魔族も多くの死者が出る、しかし今目の前にいる勇者は圧倒的に弱いルークには悪いが、想像以上に弱い為、今ここで殺した方が得策なのだ


シン「は.........話だと!?」


リディア「ああ」


しかし、約束を破るほどの事ではない、この程度ならとリディアは話始める


リディア「此奴.......ルークと話したのだがな」


——————————————————————

~魔王城~


ルーク「それは、俺が魔王軍代表として戦い、勇者を人間代表として一対一で戦うんです」


ゾディア「一対一で...........ですか?」


ルーク「はい」


リディア「どう言う事だ?説明してくれ」


ルーク「はい」


そう一言置いてルークは自分の作戦の話をする


ルーク「俺は今、魔族に助けられ、魔族の人達のお陰でこの力を手に入れました」


そしてこの力は対勇者戦に向いている


ルーク「なので、俺とリディア様で、戦争を続けている王国に行き、勇者と俺で人間と魔族の戦争の勝敗を決めるのです」


これ以上の被害を出さない為にも、戦争を続けいる国に行き、代表戦で終わらそうと話すのだ


リディア「成る程、我が行き、お主が魔族代表とした戦ってくれると」


ルーク「はい、この不毛な戦争を終わらせる為に」


リディア「わかった、では最初にお主の仲間を助けよう、そして勇者にもその事を話し、了承させれば」


この戦いを終わらせる事が出来る


——————————————————————

リディア「我らが勝てば、王国軍の全面降伏、我らの領土を2度と奪わないと誓え」


ルーク(賠償金とか請求すれば良いのに)


シン「お.......俺が勝ったら?」


リディア「.................そうだなぁ、お主らが欲しがっている領土をやろう」


シン「.........良いだろう」


シン「それと.........」


ルーク「ん?」


シン「俺様が勝ったらテメーを殺す、良いな?」


ルーク「なら、俺も同じく」


こうして、交渉は成立した

後は王国に行き同じように了承させれば良い

シンが言えば、話は進むだろう

こうして人間と魔族の戦争は代表戦で雌雄を決する事となった。


——————————————————————


続く

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