第2話 装置の破壊

「今日はダンジョンに行くぞ」


ダンジョンとは、洞窟によく似た穴であり、中にはトラップや魔物が出現する。

そのため、素材の多くはこのダンジョンで採取される。


「冒険者の依頼に、魔物の品物があるんだが、それを集めるのはこういうダンジョンがいい」

「魔物がたくさんいるってことか?」

「そう。それで、今回は戦う訓練ていうか、戦闘にも慣れていかないとね」


まぁ、前のように壊しすものはないし、注意もしたからいいとは思うけど....。


このダンジョンの中は、洞穴のような雰囲気だった。


「早速出てきたぞ」


現れたのはゴブリンだ。


「ゴブリンはよく武器を持っているけど、あまり強くは....」


と、言っている間にすでに倒してしまっていた。


「こんなもんか?」


と、血が滴る剣を上げつつピアの方を向いて言った。


「早すぎるって....」


ピアはため息をついた。

倒されたゴブリンは蚊が叩かれたように潰されていた。


「だから、手加減をしろ脳筋」

「なんでだ?なにかに使うのか?」

「こいつはゴブリンの肝は素材として売れるの。だから、少しは手加減しろ」

「でも、どうやってこいつを持って帰るんだよ。肩に担いで持って帰るのか?」

「それは、いい状態だったら説明してやる」


そんなこんなしている間に、スライムが現れた。


「こいつはなにかあるのか?」

「いや、ない。やっちまっていいよ」

「オッケー!」


と、勢いよく持っていた大剣を振り下ろした。

あまりの衝撃にダンジョンの壁や天井から砂が落ちてくる。


「おいおい、だから少しは手加減したらどうだ?」


砂が落ちてきている天井を見ながらピアは言った。


「べつに壊れるわけじゃないし、なにもないならこのくらい良いだろ?」

「まぁ、そうなんだが手加減する練習もさせたほうがいいな」


と、言いながら2人は奥に進んでいった。

進みながら倒していると、あるゴブリンを原型をとどめた状態で倒せた。


「まぁ、これでもマシな方か」


もっと状態が良くないとダメなんだけど....。


状態をよく見た後、右腰に掲げてある装置に触れた。

すると、白い渦のようなものがピアの目の前に現れた。


「それはなんだ?」

「これが、さっき言っていた持ち帰るための道具だよ。アイテムボックスっていう。この中に前に買ったポーションも入ってる」


喋りながら言いながらゴブリンを白い渦の中に入れていく。


「すげぇな。俺も入ることはできるか?」

「入れないことはないけど、まだ内容量が少ないし、入り口も狭いからできないと思うぞ」

「へぇ〜。俺もなにか入れてみるわ」


と、シュラルト自分の持っていた武器を入れようとしたが、


「ん?あれ?なんか入らないぞ?」


アイテムボックスにシュラルトの大剣が大きすぎるのか、さきっぽの方しか入らなかった。


「お前まだ冒険者ランクはEだろ?それだと、大体前のルース・ラビットが5匹くらいしか入らないんじゃないか?」

「どうすれば大きくできるんだ?」

「確か....ランクを上げれば性能を上げてくれたはず」


これも、高ランクによる特権であり、Sランクとなるとほぼ無限に近い量を収納できる。


「それはまた、なんでだ?」

「迂闊に入りたての奴らに大容量のやつを渡したら盗まれるかもしれない、って言う理由で最小限の性能のやつなんだってさ」

「面倒だなぁ〜」

「まぁ、ポーションとか旅の食糧とかは入れられるから、今はそうやって使え」


そうして、足をすすめる中、ピアのアイテムボックスがいっぱいになった。


「よし、じゃあ戻るか」


とは言っても、ピアもDランクなのでゴブリン5匹しか入っていない。


「なぁ、この先には何があるんだ?」


少し奥を見ると、開閉式の木の扉があった。


「ここだと、ダンジョンボス。他のダンジョンだとたまに宝部屋なんてものもある」

「ここのボスって強いのか?」

「そこまでじゃないかな?私でも討伐できるくらいなはず」

「じゃあ、討伐しに行こうぜ」


しまっていた大剣を持ち出し、やる気満々で扉に向かうシュラルト。


「待て待て、もう私のアイテムボックスも一杯だぞ。どうやって持ち帰る?」

「それは、さっき俺が言ってなかったか?肩に担げばいいって」

「だったらお前がやれよ」


不安になりながらも、ボス部屋の扉を開けた

部屋の中は円柱のような作りで、部屋の真ん中にボスらしき者がいた。


「あいつがここのボスっていうやつか?」

「そうだな。このダンジョンは主にゴブリンだから、簡単な分類にされている。っで、ここのボスはハイゴブリンって言うまぁ、ゴブリンの上位種のやつだな。まぁ、ゴブリンより手ごわい相手だ.....」


ピアが言うまでもなく、既に戦っていた。


「なぁ!上位種ってことはこいつは高く売れるのか?」


剣を交えるなか、ピアに向かって視線を動かす。


「いや、普通のとさほど変わらんぞ」

「なら、叩き潰してもいいな!」


といい、床に穴が開くほどの衝撃で叩き潰した。


「だからさぁ....加減しろって」

「悪い悪い」

「結局潰したじゃないか。まぁ、入らないからどの道いいんだけど....」

「いや、完全には潰してないぞ」


空いた穴を見ると、ハイゴブリンが頭がない状態で横たえていた。


「まぁ、お前にしては手加減した方....なのか?」


穴に入り込み、状態を確認する。


「まぁ、体は大丈夫そうだし、持って帰るか」


ハイゴブリンを穴から引きずり出し、シュラルトに渡す。


「ん?それはなんだ?」


シュラルトが指差した先には何かの茎のようなものがあり、そこから緑色に光る粒が出ている。


「こんなの、私も初めて見る」


触れてみたりするが、特に変化はない。


「嫌な予感はするが....まぁ、とりあえず戻るか。よっこらしょと」


穴からピアが出る。


「っで、こっから入った場所に行くのか?」

「いや、よく人がくるダンジョンには転送装置があるはずだから....あれだね」


扉とは正反対の場所に台座のような物が出現していた。


「これに魔力を流し込めば戻れるはず」

「俺、魔法使えないんだが」

「私のそばにいれば転送できるよ」


といい、魔力を流す。

地面に魔法陣が出現して、2人は光となって転送された。

転送先は地上に出る....と思っていたが、目を開けると日の光はなく、さっき開けた穴の中にいた。


「あれ?おかしいな....」


先ほどの台座に戻り、もう一度繰り返すも転送先は穴の中になってしまっている。


「なぁ....もしかしてこれ....」


ピアが穴の中にある茎のような物をけわしい顔でにらむ。


「これが転送装置の管かも....」

「そうなると、壊しちゃったかもな」


と、シュラルトは笑いながら言った。


「笑い事じゃないってぇぇぇぇぇ!」

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