ストライカーの条件
☆ † ♪ ∞
[二〇××年 某月某日]
[午後一時五七分]
[公立春日峰高校 グラウンド]
その日の体育の授業は、女子はサッカーを行っていた。
自陣で味方からのパスを受け取ったマユナが、ほとんど全力疾走と遜色ない速度のドリブルで敵陣へと切り込んでいく。
センターラインを超え、あっという間にゴールエリア目前まで。
そこで立ちはだかったのは敵の
DF、その中でも相手との一対一で攻撃を食い止める
――反則してでも相手を止めるという気概。
肩をぶつけるようにチャージしながら、審判――体育の教師に見えないよう巧妙にマユナのジャージをつかむアマネ。
大抵ならばそれで崩せる――が、
いかんせん、アマネは小柄で非力だった。
フィジカルとか絶無に等しいレベルである。
マユナは一切崩れない。
すこしだけムキになったアマネは、完全にマユナに抱きついた。
場合によってはイエローどころかレッドカードも見えるほどの明らかな反則であるが――それでもマユナは微動だにしない。
――反則されても点を獲るという気概。
すぱんっ、と鋭い足払いでアマネの足を刈り取るマユナ。
すかさずアマネをお姫様抱っこで抱え上げ、そのままゴール前までボールを運んでシュートを放つ。
その一撃は普通の女子高生ではまず防げないであろうサッカーゴールの角ギリギリに突き刺さり、ネットを揺らした。
ゴリラのような雄叫びを上げて、アマネを抱きかかえたままピッチを疾走してゴールパフォーマンスするマユナ。
アマネはマユナとの一対一でまったく勝負にならなかったことに不満顔だったが、なぜかマユナに抱き上げられたまま離れようとはしなかった。
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