映画鑑賞

          ☆    †    ♪    ∞


[二〇××年 某月某日]

       [午後二時一二分]

           [乙海いつみ家 マユナ自室]


 その日は休日で、マユナはランセとアマネとコマリの三人を自宅に招いて映画鑑賞していた。


 オススメの映画を見せたい――という理由はあったが、正直な所はアマネやコマリにべったりしたいだけだった。


 ランセも映画よりはユアナにべったりしたいというだけでその誘いに乗った。


「……アマネちゃんを抱っこしてると、おちつくねぇ」


 背後からアマネを抱きしめ、孫をかわいがるかのような祖母の顔になっているマユナ。

 アマネは、ユアナが市販のポップコーンを利用して作った手製のキャラメルポップコーンを機械的に口へと運びながら映画に集中していた。


「………………」


 マユナとアマネを一瞥いちべつするランセ。マユナと同じように背後からユアナを抱きしめている。




「ユアナを抱きしめていると…………………………寿命が伸びる」

「「……っ!?」」




 ポツリとつぶやいたランセの言葉に、同時に反応する乙海姉妹。


「不治の病も治るし、経済も上向くし、飢餓もなくなるし、戦争とか紛争もなくなるし、それから――」

「ランセちゃんランセちゃん。アマネちゃんに謎の対抗意識燃やさなくていいから、ユアナを神格化するのはやめてあげて」


 なにかに取り憑かれたかのように、割と本気でユアナを天高く持ち上げるランセを冷静に制するマユナ。

 ユアナもどうしたものかと、反応にきゅうして困り顔をしていた。




 映画は二の次だったマユナとランセだったが、ホログラム装置に挟まれ潰されてしまったウォーリーの場面で泣くマユナとユアナ。何度か見た映画であるにも関わらず、そこは防御不能だった。


 ランセは泣きはしなかったものの、そこで涙腺が決壊しかけた。


 アマネも泣かなかったが、宇宙船アクシオムの艦長が地球への帰還を決意した場面で大いに感心していた。


 コマリはサリナにひたすら髪型をいじられていた。

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