探偵牧師物語 その参

佐藤子冬

第1話 奇妙な依頼

 自分は深淵教会の牧師。時としてトラブルに巻き込まれる体質の変わり者と評されている。

 

 しかし、一体これはどうしたことだろう?

 事件の帰りに教会に戻ってみれば教会員の英子さんのお孫さんと逢い「婚約者」と突き付けられる。


「えーと、菊さん?」


「はい、何でしょう?j


「これは何かの冗談ですか?」


「半分は。もう半分は本気です。と言うのも先生に依頼したい事件があるのです。我が家にまつわることで」


 これは又厄介そうな案件だと直感が走る。


「聖書を見つけて頂きたいのです


「聖書? どの様な聖書ですか?」


「それが分からないのです」


「分からない?」


 珍妙な答えに菊さんは答える。


「元々代々我が家に伝わるものだったのですがお祖母様の伴侶であった当主が亡くなられた時に口伝として残しておかなかったのです」


 ふむ、そうなると巻物か書物で残している可能性がある。


「蔵などは調べられましたか?」


「百聞は一見に如かず」


 英子さんに似た言い方だ。そう言って彼女は英子邸へと招くのであった。

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