第4話「探偵役の特技」

京一けいいち、全員に紙を配って、バッジがあると思う場所を書いてもらってくれ」


「あァ、わかった」


 メモを配る京一に全員がいぶかしそうな顔をしたが、あきらが「当てずっぽうでもいいよ」というと、迷いながらでも書き始める。


「京一、読み上げてくれ」


 旺は目隠しをしたまま腕組みした。


「ゴミ箱の中、学級文庫の本に挟んでる、先生の机の引き出し――」


 ひとつひとつ読み上げる京一の声をそのままの体勢で聞いていた旺は、読み上げ終わると同時に目隠しを取り――、


「京一、京一」


 手招てまねきして呼んだ京一の耳元に口を寄せると、


「なァ――」


 何かを言った。


「あ、ホントだ!」


 京一はプッと吹き出し、教室内は一気にざわつく。


 ――全員、小蔵おぐらを見たぜ。そして仲良し五人組は全員、校庭か。


 旺が笑みを見せられるのは一瞬だけだ。


「何が本当だ、だッ!」


 小蔵が吠えるが、旺は笑みを消して涼しい顔。


「バッジの場所が分かったぜ。犯人は分からないから、誰がどうしたっていうのはいわないぜ」


 あきら綾音あやね京一けいいちと、亜野あのを呼んだ。

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