第106話 Decisive Endanger Ⅲ
「全くどうなっているのよッ!もうッ!」
「……斬られてもあの不気味な笑顔でこっちを見てるだけなんて、どんだけドMなの?」
ぷるるる
「マム何の用?今アタシは凄っごく忙しいのッ!だから闘ってる最中に通話してこないで貰えるかしら?」
「戦闘中だって?!アンタ、一体どこで何と闘ってるんだいッ!?」
「だーかーらー今、アタシは「ソレ」と
「じゃないと、アタシ死んじゃうわよ?」
「あたしゃアンタがどこで闘ってるか知らないが、こっちもそれどころじゃないんだよッ!地上は今、大変な事になっているんだッ。アンタが今、「ソレ」と
「えっ?今何て?それって、どういうコト?」
「——あっ!?しまっ!ガードをっ!えっなにこれ、デブリじゃない……。フェ……イク?」
ぎゅん
「やああああああ、がががががががあぁぁぁあぁぁ」
「あ、マズったねぇ、こりゃ」
「ま、まぁ、そしたらそっちはそっちで頑張っておくれよ」
つーつーつー
「ソレ」はデブリだけで攻撃していれば、
だから、デブリに紛れてデブリに似せた
拠って少女は「ソレ」からの
「ここはどこかしら?アタシはまた死んだってワケじゃなさそうだけど……」
「だってだって、以前と状況が全然違うもの。身体は動くし……ッ!?そうかッ!?」
少女は暗闇の世界に閉じ込められていた。「ソレ」からの
そしてそれが、アストラル体になってしまった少女の弱点だった。
「いい線いってたと思ったんだけどな。結局、どうすれば倒せるのかしら?ってかその前に、どうやってここから抜け出せばいいんだろう?」
「ヒヒヒ。やっと、堕ちたな。これから先は俺がキサマを喰うターンだッ!ぐふふ」
「なっ?!くぅ、離せ!後ろからなんて卑怯よッ!」
しゅるしゅる
ぬちゃぬちゃ
ぐちょぐちょ
「えっ!?う、嘘でしょ?イヤ、やめて!アタシの
ぐちゃぐちゃ
ねちょねちょ
くちゃくちゃ
「ぐふふははははッ、これは美味ッ!これは美味いッ!これ程の美味であったとわッ。ぐふふふ。ワイにかつて「敗北」を与えた、このワイを押し留めた力がこれ程までに美味だったとはな。にひひひひ」
「ぬふふふふ。どれどれ、他の部位はどうかな?一片も残さず喰ろうてやるから、ほらほら曝け出せ。ぐふふふふ」
「や、やめれぇ。アタシを犯さないれぇ。食べらいれぇ。頭があたまが、おかしくなるぅ。らめぇらめなのぉ」
少女は後ろから近付いてきた「ソレ」の気配を察知出来なかった。「ソレ」は少女を後ろから羽交い締めにすると、
そしてその触手は、少女に吸い付くばかりか身体の穴という穴から体内へと
少女は抵抗も出来ず、
「ぬふふふふ。美味い美味い美味い!美味美味美味!ほら、もっと喰わせろ!もっとだもっとだ!腕も脚も胸も頭も脳髄も全て喰ろうてやる。ほら、もっと喘げ嫌がれ、もっと恐怖しろ。ワイにもっと美味を寄越せぇぇぇぇぇッ!」
「ホントにゲスね。見てて吐き気がするわ……。アタシは
ずっぷぷぷ……ぷしゅ……ばッ
「ぬあんだとッ……何故?何故?何故?ワイのエサが
「残念ね。それはアタシを象った
少女を貪り喰う「ソレ」の背後にいたのは少女だった。そして少女は冷ややかな目をしたまま、「ソレ」に対して大剣を突き刺していく。
ゆっくりとゆっくりと時間を掛けて貫いていく。魂すらも凍らせそうな程に、冷たい視線を向けたまま穿いていく。
自分を美味しそうに食べている「ソレ」が、少しでも長く苦しめるように……。
「はッ!な、なんとか、帰って来られた……わね。イチかバチかだったけど、あれで正真正銘ダメージは与えられたハズよ」
「そ、それにしても、
「とは言っても、さっきのマムからの通話でだいぶカラクリが見えてきたからこれ以上時間は掛けられないわね」
少女はマムが「地上が大変なコトになっている」と言っていた事が、解答を見付ける
それの問いはモチロンのコト、「いくら斬っても即時回復するのは何故なのか?」だ。
拠って
「回復する
一方で「ソレ」は苦しんでいた。少女から
拠って惑星の直上に存在している「ソレ」は、
地上にある膨大なエサから、エネルギーを吸い上げる為だけの装置として存在する分身体。吸い上げたエネルギーを自分の元へ運ぶだけの分身体。
拠って分身体が使える機能は少ない。
自らを守る機構とそこら辺のモノを投げるか、本体にエサを渡す為の
だから
何かが起こったら
誰にも見付からない場所に。
だが、どうにも
「ぐぬぬ。一体、ワイの分身体に何が起きている?ぬぬぬぬ、これならば
少女の力は
集められた力は、愛剣の中に全て注ぎ込まれていく。
「魔」と「神」の2つの相反する力は1つに混ざり合い、愛剣の造形すらをも変えていった。
愛剣は禍々しくも神々しい、それはそれは美しい
少女は完成した
「こおぉぉぉぉぉのおおぉぉぉぉぉッ!」
「くぅぅぅぅらぁぁぁぁぁえぇぇぇぇぇぇぇッ!」
ぎぃぃッぱぁんッ
ざんッ
「燼滅破竜ッ!」
じゅばばばばばばばばばばばばばッ
そして更に
拠って縦横無尽に不可避の刃は斬り刻んでいく。
結果としてニタニタ笑っている「ソレ」の身体は、認識するのが困難になる程に
「
じゅッ
「ふぅ。これで終わったわね……。「ソレ」も完全に燃え尽きたし、復活もしてないわッ!
斬り刻まれ粉微塵になった「ソレ」の身体は、少女の魔術に因って完全に
そして晴れて無事に
だがこの時の少女は、未だ眼下の地球を覆い尽くしている「膜」が消えていない事に気が付いてはいなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます