第84話 Brilliance Shiner Ⅰ
瞳を閉じた少女は「死」を覚悟していた。「痛いのはイヤだなぁ」と思いつつ。
だが、待てど暮らせど「死」は少女に襲い掛かってこなかったのだった。その為に少女は恐る恐る瞳を開いていった。
「ッ!?」
「ちょッ。これ、なんなの?」
少女は言葉を失ってしまっていた。何故なら、風龍の口は開かれていなかったからである。いや、それだと
適切な表現に言い換えるとしよう。
風龍イルヴェントゲートの口は、得体の知れない1匹の
要は、
その
その
更に今までに見た事のある、どの「
一方で風龍イルヴェントゲートは
風龍は突如現れた「輝く龍」に爪を突き立てられ、上顎と下顎を
少女はその光景に
「よもや、
「
少女は助けられた事に驚いたが、更に別の意味でも驚かされていた。それは
言語として確立したモノを持っている魔獣の存在は見付かっていない。仲間内で意思疎通をする為に声を発したり雄叫びを上げる魔獣はいても、それはデバイスで翻訳出来る「言語」としては認識されない。
だから当然の事ながら少女は、
グルル
「イルヴェントゲートよ、
グルルルォ
「
輝く龍は、風龍イルヴェントゲートの口をそのまま握り潰していく。口を握り潰された風龍は、鮮やかな紅い体液を
言葉を紡ぎ終えた輝く龍はその身体の光を凝縮させ口を開いていく。それは目も眩むばかりの光の
「
ばくんッ
「
「キサマ、
「アタシはアナタの邪魔をしたいんじゃなくて、風龍に刺さってる大事なモノを取らせて欲しいだけなの。アナタの
少女は身体を投げ出して風龍を庇うように、輝く龍の眼前に飛び出していった。
そして対話を求めた。相手は
「お願い、消し去らないで……。それだけは絶対にイヤなの。結果的にアナタの邪魔をしてしまう事になるわ。だからそれは、ごめんなさい。でも、アタシの大事なモノをこれ以上、奪わないで」
「生命よりも大事なモノなど、あるハズもなかろう!」
輝く龍は威圧感全開で少女に言葉を紡いでいた。少女の疲労困憊の身体は、輝く龍の威圧を受けて四肢が震え出しているが、少女としては1ミリも引く気は無かった。
そんな少女だからこそ、震える身体に鞭を打って輝く龍に対して負けじと言の葉を紡いでいったのである。
もしもここが空中ではなく地面の上であったとしたなら、その威圧感に負けて、
「掛け替えのない人の、掛け替えのない大切な物なの。だからそれをアタシに取らせて欲しいの」
「ほう?それ程までに大切なモノとわな。だが、それの為に
「えぇ、アタシにとっては凄く大事なモノなの。失う訳にはいかないの。これ以上、ホントにこれ以上、何も失いたくなんてないの……だから、お願い……します」
輝く龍は口角を上げ嘲笑っているような表情で、少女に対して言の葉を紡いでいた。一方の少女は泣き出しそうな表情になりながらも
そして少女は輝く龍が溜め息をついたような気がした。
「ならば、コヤツの処分はキサマに
「ありがとうございます。えっと、
ちゃきッ
「それじゃあ、気を取り直して……。時間もあんまり無いから、ちゃっちゃとやられて貰える?」
「ふんッ、見させてもらおう」
グルルゥ
然しながら少女は、その言葉を
少女は
「でぇぇぇぇやぁぁぁぁッ!」
ざしゅッ
「えっ?!さっきよりも遅い?——ッ!?そうか、そーゆーコトね?ならばッ!」
「
バリバリバリッ
グルルルルルォォォ
「もし、アタシの予想が合っているなら。これでイケるハズ!デバイスオープン、精霊石スカディ、我が剣に宿れ!」
風龍イルヴェントゲートの動きは段違いに遅くなっていた。それは少女の攻撃や
何故ならば身体を覆う
少女は風龍イルヴェントゲートが揚力を得ているヒントが、そこにあると考えたのだ。
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