第73話 Unique Deceiver Ⅲ
「うわぁ、こういう事かぁ。これをクリスが1人でやったの?なんていうか……クリス、恐ろしいコッ」
「デバイス的には残りは2匹みたいだけど、1番奥かな?奥の部屋燃えてるし。ってか、ぬるぬるのグチョグチョで歩き難いわね。出力抑えてブーツで駆けた方がいいかしら?」
「えッ?!」
「何今のッ!?急いで行かないとッ!」
「ブーツオンッ」
少女は最上階に辿り着き、考えてもいなかった
だがそんな時に炎の中から出て来ようとしていた1匹の
その瞬間から少女の背中を冷や汗が伝っていく。いや、伝うだけでなく滝のように止まらなかった。
「クリスッ!無事ッ?」
「あ……アルレ……殿?」
クリスは遠くから聞こえて来た少女の声に我に返った。だが、身体に思うように力が入らない。そして脚にも同様に力が入らない。
要は全く動けないでいたのだった。
一方の
「デバイスオープン、精霊石サラマンダー、ガンに宿れ」
「
ごあっごぉぉぉぉぉぉッ
少女は
そして
「クリスッ大丈夫?立てる?ここから逃げるわよッ!」
「すまない、アルレ殿。此の身は
「ほら、しっかりちゃんと掴まってて」
「う、うむ」
「ブーツオンッ」
少女は動けないでいるクリスを立たせると自分の肩に掴まらせ、部屋から一目散に逃げていった。
ブーツの出力は最大だったので安定性は欠いていたが、それどころではなかった。
「デバイスオープン、ローポーション。それと、万能薬」
「さ、クリス、これを飲んで」
ぐびっぐびっ
「クリス、立てる?歩ける?」
「あぁ、もう大丈夫だ。アルレ殿、助かった。感謝する」
「それはいいけど、あれは一体何なの?あれがあの部屋にいた
「やはり、あれが
「どういう事?まったく会話が噛み合ってないし、クリスは
ちゃきッ
「クリス待って、どこに行くつもり?」
「あれを倒さないといけない。此の身がちゃんと倒してくる」
少女はクリスを連れて階段まで逃げて来ていた。クリスは大した怪我もなかったが、話している内容は意味がよく分からなかった。
そしてクリスは
そんなクリスの
「あれが本当に
「一体、その身の内に何を飼っていると言うの?」
少女の背中は大洪水のようにぐっちゃりとしている。あの
小さな身体であの炎龍ディオルギアをも凌ぐ、異質な
再び向かっていったクリスとの闘いに於いて、先制をしたのは
一方でクリスは先程までの震えが、まるで嘘であったかのように落ち付いていた。そして向かってくる影を、
尚、クリスの
決して広いとは言えない廊下での戦闘であって、自在に動く影の方がどう考えても有利なのは明白だった。だが、クリスはその不利を物ともせず、自分の方に向かってくる影に対して無駄な動きをせずに、ただ躱していく。
クリスに躱された事で影に襲われた壁は、
「恐らく、先程の
「だが、不思議なモノだ。さっきまで此の身を襲っていた感情の奔流がなくなっている……。そして、身体が軽いッ」
クリスは
近付かれた
だが、そのどれもがクリスに触る事は出来なかった。
クリスは体勢を低くし、鞘に収まっている龍鱗剣スライスナーヴァに手を掛けて一閃を放ったのだった。
「
-・-・-・-・-・-・-
その
更に、その
妬まれた結果、その
その天使が埋め込まれた魔眼は、「
その事を知らなかった
その結果、主は魔眼に因って
因ってその
その
その
小さな
「
ざんッ
クリスはその張り上げた声と共に、龍鱗剣スライスナーヴァを鞘の中で
その居合いをまともに受けた
しかし、泣き別れていた身体は影に拠って運ばれ、今にも戻ろうとしていた。
一方で遠目に見ていた少女はその光景を「はい、そーですか」と受け入れるつもりは
クリスは
拠って、
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