第57話 Unscrupulous Tester Ⅲ
『どうだッ!空中戦なら此の身とて優雅に振る舞えるぞッ!今度はオマエ達が地を這う番だッ』
しゅばばっ
どおおぉぉん
クリスは度重なる
そしてすかさず距離を詰めると翼を狙って斬り付けていく。
いや華麗さも優雅さも微塵もない上に、危ういながらギリギリで躱している程度なのだが、クリス視点ではそうなるらしいというのは余談である。
クリスはそうやってカウンターみたいな攻撃を、幾度となく繰り返していった。
その末に漸くにして1匹の
墜ちた
『でぇやあぁぁぁぁッ!』
ざしゅッ
『よしッ、あと2匹!この手はあまり使いたくないが背に腹は替えられないから仕方ないっ』
クリスは先に墜ちた
こうして3匹中の1匹を仕留めた事で少なからずクリスの士気は上がっていく。
更に付け加えれば残りの2匹も翼に傷を負っており、安定性が失われつつあったのも事実だ。
拠って一気に戦況を変える事をクリスは選んだ。
『
しゅばばぱはばばッ
ギギャッ / ギグッ
クリスは
そして幾重にも及ぶ光の刃をたわわに実った
こうして2匹のワイバーンは光の刃に因って切り裂かれ墜落していく事になる。そしてそれらは完全に地面に墜ちる前に、黒い霧となって消えていった。
一方で一見万能そうに見える
然しながら今は余談の為に置いておこう。
『こ、これでどうだ。それともまだ、何か来るのか?』
『こ、此の身としてはもうお腹いっぱいなのだが、続きはあってくれるなよ?』
「あのさ?」
「聞かないで」
「あのさ?」
「聞かないで」
「あのさ?」
ばこんッ
「殴るわよッ!聞かないでって言ってるでしょ!」
「そーゆーのは殴る前に言って欲しいけど……。ところであのコはワザとフラグ立ててるの?」
「聞かないで」
「天然って自覚してれば養殖なんでしょ?どっちだと思う?」
「あれで養殖だったら、世界中の養殖産業が怒ると思うわ」
「それにしてもさっきのワザは凄かったね!
ちらッ
「な・あ・に・?」
「な、なんでもない……よ?うん。なんでもない」
ちらッ
「ワザの時の色気が凄かったなんてこれっぽっちも思ってないし、考えても口に出しては絶対に言わないよ!」
ちらッ
「どうせ、どうせ、どーぅおーぅせッ、アタシに色気なんざコレっぽっちもないですよーーーッだ!いいもんいいもんッ!ふんすっ」
「あれ?殴られると思ってたのに鉄拳制裁が来ない?!」
「にひひ。やっぱりそっちの趣味に目覚めてたのね?チェリーくん。ぶっ、ぷーくすくす」
「ッ?!」
「まっ、それにしてもあの
「でもまぁ、普通のハンター試験なら文句無しに合格なんだろうけど、アタシが試験官をする以上はまだまだ終わってくれるなよ?ん?なんか違う?」
「これで終わったと思うなよ?」
「終わったと思ってくれるなよ?とか言いたいの?」
「そうそう、それッ!それよッ!」
「はぁ、悪役になりきれないんだったら最初からやったらダメだと思うんだよねぇ?」
「中途半端な悪役は滑稽でしかないよ?」
ぐさっ
「ウィっ、ウィルのクセに生意気だぞッ!」
ぼかすかぼかすかッ
クリスの息は上がっていた。
そしてその表情からは
そして新手がここで登場する事になる。クリスは突如として湧いた異常な殺気を感じ取っていくのだった。
数は1つだけだが殺気の強さは先程の
『何だ、この殺気は?身体の芯からビリビリと痺れるようなこの感じ。どこかで……』
『い、一体何が来るというのだ?だが、これ程までの殺気の持ち主が相手ならこちらも全身全霊全力でいかねば闘いにすらなりそうもないなッ!』
『
クリスは敵がまだ見えぬ内から
こうしてクリスには複数種の強力なバフが施され
それは魔術で例えるならば
然しながら持続性が低い
そもそもの話しが
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