第41話 Rudest Attacker Ⅴ
「デバイスオフ、
ボッボボ…ゴガガガァァァァアアァァァァッ
少女の命令にガルム達は一斉にカードに戻ると、デバイスの中に収納されていった。その直後に炎龍ディオルギアの
まさに間一髪のところで
クリスは状況が
だが荒れ狂う炎龍ディオルギアに特攻したところで、一太刀すら浴びせられないのは明白だった。
少女は生命を大事にしろと言った。だからこそ無駄な特攻は選択肢から外されたのである。
炎龍ディオルギアは翼を広げ羽ばたいて空へと舞い上がっていく。更には大地や空や草木といった、ありとあらゆる場所や目に映る全てに対して憎しみを込めて
辺りは夜の帳に逆らうように暗闇から一転していた。そして赤々とした炎が「空をも焼き尽くさん」と、燃え上がる高温の空間へと
少女は
そしてその上空から、凄惨な別世界と成り果てた大地を見下ろしていたのだった。
炎龍が吐き出した
それはまさに地獄絵図だ。地獄の釜の蓋が開いたと言われても、信じられる光景でしかなかった。
このままでは攻撃をする事は
とは言っても、この状況は消火する為に大量の水で消そうものなら、それはそれで水蒸気爆発を巻き起こす可能性が高いのも事実なので、無くて良かったのかもしれない。
「デバイスオープン、精霊石ノーム、ガンに宿れ」
「
「いっけえぇぇぇぇ!!」
少女は水以外で消火する方法を思い付いたのだった。そして思い付いたらスグに実行した。何故ならば、これ以上好き勝手させるつもりなど毛頭無かったからだ。
拠って消火する為に必要なモノとして選んだのは土だった。
今と洞窟の中とでは環境は違うが、モノを燃やす為の3要素に変わりはない。だからこそ1つでも奪ってしまえば消火出来るという事もまた変わりはない。
先程と唯一の違う点は「火炎放射器」なのか「火事」なのかといったコトだけだ。だから「火事」であれば可燃物を内に抱えている「火炎放射器」よりも可燃物を奪いやすく、それだけ消火も早い。
炎龍ディオルギアの
ちなみにこの「
然しながら火属性の炎龍ディオルギアに対して、土属性の魔術は相性が非常に悪い。
だからこそ少女は魔術を魔術としてではなく「物理」として使ったのだった。
更には炎が
こうして辺りは再び暗闇に支配されていく。
ザバっ
「出番よ
「破竜の型あぁぁぁぁッ!」
大質量の土砂を掻き分けるようにして炎龍ディオルギアの頭が覗いていた。少女は「
自由落下に拠って重力任せで速度を加速させ、頭を出した炎龍に向けて少女は「型」を放つ。こうして少女の放った「型」からは不可避の刃が現れ、炎龍ディオルギア目掛けて牙を立てていく。
少女が
ギャアアァァァァァス
「チっ駄目だ、完全に決まってない」
「今の一撃で頭を斬り落とすつもりだったのにぃッ!」
土砂に埋もれていた炎龍ディオルギアは、頭を斬られた事で非常に怒り暴れた。その暴虐な暴れ方によって炎龍を拘束していた、重りのような大量の土砂は見事に四方に弾け飛ばされていったのだった。
一方で予想以上に硬く「型」が想定通りに決まらなかった少女は、口惜しい様子だ。だがそんな事で諦めるワケもなく、地面に当たる寸前でブーツを再点火させると地面すれすれを滑空していく。
そして再び炎龍に斬り付けていったのである。
炎龍は素早く動く少女に対して目が追い付いていない。それは人間の周りを飛んでいるハエを、人間が叩いて落とせないのと同じ感じだった。
従って炎龍ディオルギアはその爪で、自分の周りを飛び回る少女を切り裂こうと振り回していたが少女はそれを上手く躱していく。拠ってその爪が少女に届く事はなかった。
幾度となく斬撃を放ち、炎龍の鱗は剥がれ落ち血が噴き出していく。頭を直接狙えるような機会には恵まれなくても、刻む事で確実にダメージは上乗せされていくだろう。
そうすればいつしか討伐する事が出来る。
しかし、そんな悠長に構えていては
拠って少しでも蓄積するダメージを大きくしようと、少女は右手の刀で炎龍を斬り付けながら左手はデバイスの
だから少女は非常に焦っていたとも言い換えられるだろう。
炎龍ディオルギアは更に憎しみを募らせていく。
炎龍ディオルギアは更に怒りを積み上げていく。
炎龍ディオルギアは小うるさいハエを落とそうと思案する。
炎龍ディオルギアは煩わしいハエを落とす方法を画策する。
ゴガアァァァァァアッ
「ッ?!何をッ!?」
炎龍は空を仰ぐと
拠って質量を持った火球は、重力に従って
「えっ?!」
少女は炎龍ディオルギアに対して
拠って
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