第14話 段ボール新装備
現在のカノンの所持金は4万6500ギルドだ。
冒険者ギルド近くの宿屋に部屋を借りて、ハサミで小金貨1枚を四分の一に切っていく。
テーブルの上に、小金貨をバラバラに離して置いて、あとは修復スキルを使用するだけだ。
あっという間に4万ギルドが16万ギルドに増えた。
「ルセフさんが教えてくれた通り、これならお金には困りませんね」
カノンは都合のいい部分しか覚えていない。
何の迷いもなく、16枚、64枚、256枚と小金貨を増やした。
「うーん、増やし過ぎると切るのが面倒ですね」
カノンは256万ギルド手に入れて、ハサミの使い過ぎで指が疲れてしまった。
テーブルの椅子から立ち上がると、ベッドの上にゴロンと横になった。
「はぁー、金貨を切ってくれる使用人が欲しいです」
カノンがまた使用人が欲しいと言っている。
使用人は面倒なことをやってくれる人達だと、両親に、特に貴族の母親から教わっている。
父親は元々平民の成金で、金に困っていた男爵家の娘と結婚しただけだ。
「使用人って、どこに売っているんでしょうか?」
人間を売っている店はない。カノンはスライムが増えるまでやることがない。
ベッドの上をゴロゴロしている。お金も自由もあるのにやることがない。
着ている服は修復スキルを使えば、洗濯する必要はない。
一人で夕食までダラダラ過ごすのは、精神的に無理そうだ。
「そうです。スキルの実験をしましょう。ルセフさんに怒られないように頑張らないと」
カノンは退屈で死にそうだったが、ベッドから起き上がった。
青年に言われた通りに、自分のスキルを実験するようだ。
アイテムポーチから、道具屋で貰った段ボールを取り出した。
「何か良いのがあるかもしれないです」
床に段ボールの中身をばら撒いて、修復スキルを使用した。
ただの布切れ、革切れがどんどん大きくなっていく。
修復が終わると、床一面に物が溢れた。
「わぁ~♪ 服も靴もあります! これなら茶色服から卒業できますね!」
手袋、革袋、財布、鞄、帽子、マント、服、靴……と布・革製品が山ほどある。
ゴミの山が宝の山に変わった。
「う~ん、財布と鞄は一つにして……男物と小さい服は、このアイテムポーチに入れますか」
カノンは一つずつ物を調べて、使わない物を茶色のアイテムポーチに入れていく。
最初は床に200品はあったのに、今は50品ぐらいに減っている。
その中から使えそうな、四つを選んでカノンは装備した。
【名前=真紅フード(赤色) 種類=防具(帽子)
レベル=1(必要経験値0/10) 進化レベル=15 損傷率=0%
防御力=7 魔法防御力=2 ステータス効果=力+5、素早さ+5】
【名前=白魔木ローブ(長袖膝下白色) 種類=防具(服)
レベル=1(必要経験値0/10) 進化レベル=15 損傷率=0%
防御力=22 魔法防御力=5 ステータス効果=精神+22】
【名前=剛力リストバンド(金色) 種類=防具(腕輪)
レベル=1(必要経験値0/10) 進化レベル=15 損傷率=0%
防御力=1 魔法防御力=1 ステータス効果=力+20】
【名前=瞬足靴(若草色) 種類=防具(靴)
レベル=1(必要経験値0/10) 進化レベル=15 損傷率=0%
防御力=1 魔法防御力=1 ステータス効果=素早さ+20】
新しい装備は力と素早さの仕事用に特化している。
頭に長い赤色フードを被って、ワンピース型の白いローブを茶色服に重ね着する。
右手首に金色の革の腕輪、両足に若草色の革のひも靴を装着した。
「凄いです! さっきよりも簡単に切れます!」
パワーアップしたカノンは、小金貨が紙のように切れて喜んでいる。
夕食後にスライムを倒したら、ハサミも装備もレベルアップする。
切れ味もパワーもアップするから、使用人はまだまだ必要なさそうだ。
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